中学技能教科「美術」攻略、一点消失図法と二点消失図法の書き方
執筆
中里 太一(なかざと たいち)
「構図」が取れると描けるスケッチが変わる
こういう絵を書く理由は「構図」が取れていないからです。この絵を書いた生徒に「構図」を教えて、もう一回書いてもらいました。それが下の絵です。
構図:一点透視
電車自体のパースは二点透視になっています
最初の絵とは全く違います。このように「構図」を取って描くと、絵が変わります。構図の取り方は美術の筆記テストでも出題されます。今回は「構図」の中でも、一点透視図法と二点透視図法の書き方について解説します。スケッチの苦手な人は、これができるようになれば、奥行きのある上手なスケッチができる第一歩になります。
一点透視図法をマスターする
「一点透視図法」の特徴は、ヨコは平行、タテは垂直。奥行きが1つの点に集まる図法です。透視図の一番基本になるものです。まずは、立方体を描くことで書き方の手順を理解しましょう。
書き方の手順
- 水平線を書きます。
長さや高さに決まりはありません。何度か練習していく内に加減がわかります。水平線を上の方に書くと、上から見下ろした絵が描けます。《水平線が上→上から見た図》
それに対して、水平線を下の方に書くと下から見上げた絵が描けます。《水平線が下→下から見た図》
- 消失点を決めます。
【用語の説明】
消失点は物体の奥行きが集まった点です。物体は消失点に向かって小さくなっていきます。
【注意点】
一点消失図法の場合は、消失点を1つ決めます。
消失点をどこに置くかは、どういう絵を描きたいかによります。絶対にここにしないといけないということはありません。ここは練習して感覚をつかみましょう。 - 正方形を作ります。
- 奥行きは消失点に集合させます。
【注意点】点線で表現しましょう。実線で書くと、線だらけになり、判断がつきにくくなります。 - 側面の正方形を作ります。
【補足】
どちら側から書いてもいいのですが、図がたくさん見えるので、奥の方から作ったほうが、正確な図形が作りやすいです。 - 残っている部分は、ヨコは平行に書いて、タテは垂直に書きましょう。
これで完成です。慣れればどんどんうまくなります。まずは、消失点に集めるという感覚をつかめると良いですね。
二点透視図法をマスターする
一点透視図法とは書き方が違います。大きな違いは、消失点が2つあることです。では、書き方を説明します。
書き方の手順
- 水平線を書きます。
一点透視図法と同じ要領です。 - 立ち上がりの1辺を書きます。
長さは適当でOKです。描きたい図形の大きさにより変わります。 - 消失点を1つ設定します。
→右側の奥行きを集合させます。 - 消失点の2つ目を設定します。
→左側の奥行きを設定します。
【補足】
一点透視図法と同じように、どこに置かなければいけないというルールはありません。練習して、どこに置くべきかの感覚を掴んでください。 - 奥行きの長さは、正方形になるように描きます。
- それぞれの消失点に奥行きは集合させます。
- 交わったところを結べば完成です。
一応、ルール通りに作ると、このような形になります。ただ立方体というには、少し違和感がありますよね?
これだと、ちょっと角度が急すぎるって分かりますか?
そこで、もっと上手に書くためのコツを教えます。
ポイントは、2点の消失点を離して書くということです。どれぐらい離すかは、書きたいものによります。
今回は立方体なので、底面は90度ですよね?
だから、消失点1と2が90度になるように消失点の2を設定します。
すぐにはうまく描けるようにはなりません。練習は当然必要です。でも、今回お伝えしたルールを守りながら練習をしていけば、今までよりは数段上のデッサンができるようになります。
執筆
中里 太一(なかざと たいち)