中学技能教科「技術・家庭科」攻略、電気に関する基礎知識

実はこの分野、学校の先生によって、難易度に大きな違いがあります。先生によっては、入試問題よりも難易度が高いものが出題される場合があります。そこで今回は、これが理解できていれば平均点以上は取れるというレベルを紹介します。

執筆
中里 太一(なかざと たいち)
用語
まずは、それぞれの用語と公式を紹介します。用語については、理解していれば良いですが、公式は必ず覚えてください。特に、オームの法則の公式については、そのまま「オームの法則を書きなさい」という問題が出題される学校もあります。
(1)電流
- 電気の流れのこと
- 単位はA(アンペア)
- 流れる電流が多くなると電球が明るくなる
(2)電圧
- 電流を流そうとする力
- 単位はV(ボルト)
(3)抵抗(電気抵抗)
- 電気の流れにくさを表す
- 単位はΩ(オーム)
(4)オームの法則
- 電圧(V)=電流(A)×抵抗(Ω)
(5)電力
- 抵抗R(Ω)に電圧V(V)を加えたときに流れる電流I(A)によって1秒間に消費される電気エネルギーのこと
- 単位はW(ワット)
- 電力(W)=電流(A)×電圧(V)
電流の計算問題
ここからは、実際に問題を通して、オームの法則や電力の問題を解説していきますが、解説を読む前に自分で解いてみてください。
【例題1】
10Ωに5Vの電圧を加えたときに流れる電流は何Aですか?
■ 解説
抵抗(Ω)・電圧(V)・電流(A)の関係性を聞かれているので、オームの法則を使えばいいと判断します。
まずは、問題用紙にオームの法則を書いてしまいましょう。
電圧(V)=電流(A)×抵抗(Ω)
それぞれに数字を入れていきます。
そうすると
5(V)=□(A)×10(Ω)
となります。あとは、方程式を解くだけです。
□(A)=10(Ω)÷5(V)
□(A)=2
■ 正解:2A
【練習1】
20Vの電圧で5Aの電流を流したときの抵抗は何Ωか?
■ 解説
例題1と同様にオームの法則の問題です。やることは同じです。ただ、数字を入れる場所が違います。
20(V)=5(A)×□(Ω)
□(Ω)=20(V)÷5(A)
□(Ω)=4
■ 正解:4Ω
【例題2】
100Vの電圧がかかり、40Wの電力が消費された時の電流は何Aか?
■ 解説
この問題は、電圧(V)・電力(W)が示されていて、電流(A)を聞かれている問題です。ですから、電力の公式を使う問題だと判断ができます。
まずは、問題用紙に電力の公式を書いてしまいましょう。
電力(W)=電流(A)×電圧(V)
それぞれに数字を入れていきます。
そうすると
40(W)=□(A)×100(V)
となります。あとは、方程式を解くだけです。
□(A)=40(W)÷100(V)
□(A)=0.4
■ 正解:0.4A
【練習2】
60Vの電圧がかかり、0.5Aの電流が流れたときの電力は何Wか?
■ 解説
例題2と同様に電力の問題です。公式を書いて、該当する場所に数字を当てはめていきましょう。
□(W)=0.5(A)×60(V)
□(W)=30
■ 正解:30W
電気料金を求める問題
【例題3】
一日4時間、500Wの電気機器を30日間使った場合の電気料金はいくらか?
電気料金の単価は20円/kWhとする。
■ 解説
電気の問題にも見えますが、実際は数学の問題です。
まず、電気の料金の単価に注目してください。20円/kWhとなっています。これは、1kWを1時間使うと20円かかるという意味です。
電力量 | 時間 | 値段 |
---|---|---|
1kW | 1時間 | 20円 |
これに、実際の数字を当てはめていくわけですが、ひとつ注意点があります。
それは単位です。
問題では500Wとなっています。それに対して、与えられた基準はkWです。ですから、WをkWに直さないといけません。見慣れないので、難しく感じるかもしれませんが、考え方はmとkmの関係と同じです。
1km=1000mですから、1kW=1000Wです。
ですから、500W=0.5kWになります。
表にまとめると
電力量 | 時間 | 値段 |
---|---|---|
1kW | 1時間 | 20円 |
0.5kW | 4時間 | □円 |
□円=0.5(kW)×4(時間)×20(円)
□=40(円)…1日にかかる電気料金
実際は、30日間使うわけなので、30倍します。
40(円)×30(日)=1200円
■ 正解:1200円
【練習3】
一日3.5時間、40Wの電気機器を7日間使った場合の電気料金はいくらか?
電気料金の単価は30円/kWhとする。
■ 解説
例題3と同じように考えてみます。まず、今回は30円/kWhなので、1kWを1時間つかうと30円かかるという意味でした。
ですから40Wを5時間使用したらいくらかということを考えればいいわけです。例題3と同様、単位には注意してください。
今回もWをkWに直さなければいけません。直し方が分からない人は、このやり方を覚えてください。
40(W):□(kW)=1000(W):1(kW)←外側×外側=内側×内側
□×1000=40×1
□=0.04(kW)
あとは、例題3同様に式に数字を入れていくだけです。
0.04(kW)×5(時間)×30(円)=6(円)
あとは、使った日数分をかければ良いので
6(円)×7(日)=42(円)
■ 正解:42円
覚えれば、それなりに点が取れる実技科目の中で、理解が必要という点で、難しい分野です。また、冒頭でも書いたように、学校の先生によって求める問題のレベルも振れ幅が大きいです。今回の内容を基本にして、学校の授業内容を復習してください。

執筆
中里 太一(なかざと たいち)