通知表に書かれている内申点の秘密
執筆
石井 知哉(いしい ともや)
2002年から登場した絶対評価とは?
2002年ごろから「通信簿」「あゆみ」などともよばれる通知表の評価方式は「絶対評価」に変わりました。
それまでは「相対評価」と言われる評価方法で、クラスの中で上位数%が「5」で下位数%が「1」というように、主にクラス内順位に基づいて1~5(または1~10)の評定がつけられていました。一方、絶対評価では生徒の到達度に基づいた基準が決められており、定められた基準に到達したものは順位に関係なく「5」というように評価されます。
つまり、相対評価では生徒のなかで評定が「5」の生徒も、「1」の生徒も一定数いたのですが、絶対評価になると、「5」や「1」がいないというケースがあるのです。また、極端に言えば、全員が同じ評定というケースもありえるのが絶対評価です。
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観点別の評価によって通知表は決まる
通知表の評定は観点別評価によって算出されます。
観点別評価とは、各教科毎に
- 「関心・意欲・態度」
- 「技能」
- 「知識・理解」
- 「思考・判断・表現」
などの観点別学習状況と呼ばれる項目についてA・B・Cで評価を行う方式です。これらの観点は文部科学省により、学校によって独自の観点を設定できるとされていますが、「都道府県等の地域ごとに一定の統一性を保つように努めよ」とされているため、地域では大きく変わらないはずです。
またA・B・Cの評価については、
- Aは「十分満足できると判断されるもの」
- Bは「おおむね満足できると判断されるもの」
- Cは「努力を要すると判断されるもの」
というふうに評価されます。
そして、これら観点別の評価を総合的に評価し1~5(または1~10)の評定として示しているのです。
A・B・Cにもそれぞれ大小があると考えられ、全ての観点がCの教科でも1になるとは限らず2の場合もあります。反対に全てAでも4の場合があるのです。
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通知表の評価は2つのポイントを見ている
評価のポイントとなる点は、大きく分けて2つだと言われています。それは、「テストの点数」と「平常点」です。
「テストの点数」は、定期テストや小テストなどの点数のこと。「平常点」とは、授業態度や授業中の発言回数、提出物など日常の振る舞いのことです。これらから、前述した「関心・意欲・態度」「技能」「知識・理解」「思考・判断・表現」という観点にあてはめて評価していくのです。
とはいえ、これらは明確に公表されているわけではありません。テストの点数が重視されるのか、平常点が重視されるのかは、学校や先生によって様々です。
その結果、定期テストが100点だとしても、授業中にある小テストは毎回0点、提出物は未提出となれば、4や3の評価をされることは十分に有り得えます。反対に、小テストは毎回満点、提出物は必ず期限内に提出するなどで平常点が良ければ、たとえ定期テストの点数が良くなくても5の評価が狙えます。
小テストは定期テストと比べ一般的に出題範囲が狭いもの。そこで好成績をとることは難しくはありません。提出物も、期限内にきちんと出す、ということは難しいことではないはずです。こういった普段の振る舞いを正していれば、例え定期テストでミスをしてしまっても最終的な評価は悪くはならないでしょう。
そういった意味でも日頃の積み重ねというのは、大事なのです。
執筆
石井 知哉(いしい ともや)