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平成30(2018)年度「都立高一般入試」まるわかり④ 〜 数学の問題分析、傾向と対策

平成30(2018)年度「都立高一般入試」まるわかり④ 〜 数学の問題分析、傾向と対策
2月23日、都立高校の一般入試(学力検査に基づく選抜)が実施されました。
果たして今年の入試はどうだったのか? 受け終えた受検者はもちろん、来年に受検する予定の中学2年生のみなさんも大いに気になることでしょう。
そこで、School Postでは7本連続となる「都立高校一般入試まるわかり」企画をお送りしています。第4弾となる本記事では、数学の入試問題を分析、傾向と対策をわかりやすく解説します。都立高校を目指す方は必読の内容です。
※ 本記事は2018年2月23日当時の公式発表をはじめとする情報に基づいたものです。
石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)

全体の概要

2教科目に実施されました。試験時間は10:10〜11:00の50分間です。

満点は100点です。全体の問題構成・配点は次の通りです。

  • 大問1:独立小問集合【全9問・計46点】
  • 大問2:式の利用【全2問・計12点】
  • 大問3:関数【全3問・計15点】
  • 大問4:平面図形【全3問・計17点】
  • 大問5:空間図形【全2問・計10点】

例年と大きな変化はありません。

解答形式で見ると、

大問1:独立小問集合

問1〜6は記述、問7・8は数値マーク、問9は作図です。問1〜8は各5点、問9は6点で、合計46点です。

  • 問1:正負の数の計算〔記述・5点〕
  • 問2:1次式の計算〔記述・5点〕
  • 問3:平方根の計算〔記述・5点〕
  • 問4:1次方程式の計算〔記述・5点〕
  • 問5:連立方程式の計算〔記述・5点〕
  • 問6:2次方程式の計算〔記述・5点〕
  • 問7:資料の整理(相対度数)〔数値マーク・5点〕
  • 問8:角度(平行線の錯角)〔数値マーク・5点〕
  • 問9:作図(垂直二等分線)〔記述・6点〕

いずれも基本レベルの問題ばかりですが、問5は解の公式を使わずに因数分解で解けますし、問8・問9もひねりのないシンプルな問題ばかりで、今年度はここ数年に比べても易しい問題でした。逆に言えば、大問1は他の受検者も正答率が高いので、ここでの失点は致命傷になりかねません。

大問2:式の利用

今年度は図形を扱う問題でした。問1は4択の記号をマークで解答する問題で5点、問2は記述で7点。合計12点です。

  • 問1:文字式の利用〔記号マーク・5点〕
  • 問2:文字式による証明〔記述・7点〕

問1は正六角柱の表面積を文字式で表すという問題でした。「六角形の面積の求め方なんて習っていない」と戸惑う受検者もいたかもしれませんが、正六角形は正三角形6個分だと気が付けば、あとは与えられた底辺と高さから底面積を求められる問題でした。表面積なので、底面積が2つ分であることを忘れると、正解にたどり着けません。平成29年度に続き選択肢が4つありますが、ありがちなミスをした場合に出てくる誤答も選択肢に入っているため、なかなかよく考えられた問題です。

問2は円柱を題材に表面積=円周×(高さ+半径)となることを証明するもの。前提となる円の半径や円柱の高さが文字式で与えられているので、公式に当てはめて計算を進めていけば結論を導くことは難しくありません。

この数年、数字の規則性を問う問題が多く、問題文も非常に長いため、難化していました。ところが、今年度は問題文も短く、構造も単純で、与えられた条件から式を立てやすいので、ここ数年間で最も易しい問題であったといえます。

大問3:関数

今年度は2次関数の放物線を扱う問題でした。グラフ上の動点Pとそれに伴って移動する点Qが登場するのは例年同様のパターンです。問1・問2は4択の記号をマークで解答する問題で各5点、問3は記述で5点。合計15点です。

  • 問1:2次関数(変域)〔記号マーク・5点〕
  • 問2:1次関数(直線の式)〔記号マーク・5点〕
  • 問3:座標〔記述・5点〕

問1は変域を求める問題。過去に何度も出題されたパターンなので、過去問で見慣れている受検者も多いと思います。計算も難しくはなく、確実に正解しておくべき問題です。

問2は直線の式を求める問題で、これも頻出のパターンでしたが、線分PQの中点Mの座標を求めることが必要でした。中点は平成29年に続いての出題となります。

問3は指定の条件に合った点Pの座標を求めるというもので、これも過去の出題パターンの通りです。ただ、「直線BMが原点を通るとき」 という条件から点P・Q・Mの位置をイメージするのがやや難しく、そこで手詰まりになった受検者もいたかもしれません。関数特有の言い回しを含む長い問題文からいかにヒントを読み取り式を作るかがポイントです。立式後の計算は例年よりも簡単で、比較的短時間で解答できます。

大問全体で見ると、例年よりもやや易しい問題といえるでしょう。

大問4:平面図形

今年度は円とその内接する三角形を扱う問題でした。問1は4択の記号をマークで解答する問題で5点、問2は記述で7点、問3は数値マークで5点。合計17点です。

  • 問1:角度(三角形の外角の定理)〔記号マーク・5点〕
  • 問2①:証明(三角形の合同)〔記述・7点〕
  • 問2②:面積比(相似比の利用)〔数値マーク・5点〕

問1は文字式で角度を表す問題。ほぼ毎年出題されるパターンで、例年同様、三角形の外角の性質を利用すると簡単に正解を出せる問題でした。

問2①は三角形の合同を証明する問題。合同条件は「2辺とその間の角がそれぞれ等しい」です。2辺が等しいことは、単純に仮定と共通辺から導けます。また、その間の角度が等しいことも、半円の弧に対する円周角が90度であることから証明できます。問題の構造はシンプルですが、減点のないように証明を書くのは意外と難しいことです。

問2①は三角形と四角形の面積の比を求める問題。辺の長さが不明なので、当然ながら面積を求めることはできません。が、これは比の問題。△ACQ、△ABR、△OBPが相似の関係にあることにたどり着けさえすれば、相似比の2乗が面積比であることから、すんなりと答えが出ます。面積比の前提となる相似比を求めるには三平方の定理が必要となります。複雑な計算は特に必要ありませんが、問題のからくりを見抜けるかどうかがポイントで、今年度の数学の中では、1、2を争う高難度の問題であったと思われます。

総じて見れば、例年と同等の難易度だといえるでしょう。

大問5:空間図形

今年度は三角柱とその上を動く点Pを扱う問題でした。問1・問2ともは数値マークで各5点。合計10点です。

  • 問1:角度(正三角形の内角)〔数値マーク・5点〕
  • 問2:三角錐の体積(平行線の線分)〔数値マーク・5点〕

問1は角度を求める問題。過去にも多く出題されているパターンです。動点Pが点Cに一致するという条件が与えられているので、実質的には△BCDの内角を求める問題です。3辺が等しく正三角形であることは比較的容易にわかるので、例年に比べても正答しやすい問題でした。

問2は三角錐の体積を求める問題。例年通りの出題パターンでしたが、過去の問題とは違い、底面積と高さの関係がストレートに把握できます。底面積は与えられた条件から簡単に出ますし、高さも平行線の線分比を利用すればすんなりと求められます。計算が複雑な数値にならないため、解答に必要な時間も多くはありません。過去の傾向ですと、大問4の問2②と並んで最も難しい問題ですが、今年度はこの数年で見ても、最も優しい問題でした。

総じて、例年より易しい問題だといえるでしょう。

2018年度数学の総括

まとめると、今年度の都立高校一般入試の数学の問題の難易度は、次のようになります。

  • 大問1:独立小問集合…
  • 大問2:式の利用…やや易
  • 大問3:関数…やや易
  • 大問4:平面図形…標準
  • 大問5:空間図形…

全体的に易化したといえます。

受検者平均点は例年55点~60点の範囲で推移してきましたが、今年度は易化により、60点を超えて65点近くになると予想されます。数学が得意な受検者は100点満点も可能なくらいで、上位校合格には高得点が必要となりそうです。

2019年度以降の受検予定者は、何をすればいい?

2019年以降の入試に向けて、1・2年生のうちからすべきこと・できることはたくさんあります。

何よりも大切なのが計算をはじめとする基礎力です。大問1の46点分のうち、問3(平方根の計算)と問6(2次方程式の計算)以外の36点分が1・2年生で学習した内容です。また、どんな応用問題においても計算は必要な作業ですから、計算力が不足していると「解き方はわかるのに間違えた」ということが多発します。都立入試の数学の基本問題は、1問5点と高配点ですから、「ただの計算ミス」があっという間に10点、15点という差につながります。これが合否を分けることは言うまでもありません。そうならないためににも、基礎的な問題は徹底的に反復練習をして「見た瞬間に手が動き始める」というレベルにまで高めることが必要です。

計算に不安がないようであれば、図形の強化に取り組みましょう。大問1の作図、大問4(平面図形)、大問5(空間図形)で合計33点分が毎年図形分野からの出題です。これに加えて、大問1の角度で5点、大問2(式の利用)で12点と、2018年度はなんと50点分が図形関連の問題ですから、いかに図形が重要なのかがわかります。1年生は作図、円とおうぎ形、立体の体積・表面積を復習して確実に定着させておく必要がありますし、2年生は図形の角度や、三角形・四角形の性質、そして証明です。教科書や中学校の提出物の問題集を使って強化しておきましょう。

計算や図形も心配がなければ、次は関数です。大問3で15点必ず出ていますし、年によっては大問1や大問2での出題もあります。関数が苦手という受験生は多いのですが、その原因の1つに、関数分野の学習が3年間(さらに言えば、小学6年生から4年間)にまたがっていることが挙げられます。過去に習った内容を前提として先に進むため、どこかでつまづくと、そこから先の内容が理解できないのです。極端な話、1年生で習った比例を理解できていないと、2年生で習う1次関数や3年生で習う2次関数は全く理解できません。ですから、進級する前に苦手を克服しておく必要があります。1年生は比例と反比例、特に座標とグラフです。2年生は1次関数です。わからなくなったときは、教科書で基本に立ち返ることが大切です。

以上から、1・2年生がすべきことは、計算→図形→関数です。「わかる」と「できる」の間に大きな差があるのが数学です。「計算ミスはうっかりミスだから次は大丈夫」などと甘い考えは即刻捨てるべきで、自分を厳しく戒めて日々の反復学習に励んでください。3年生まで苦手を先送りすることは絶対にいけません。間違いなく後悔することになります。都立高校合格を勝ち取るためには、先手必勝が最高の戦略です。「今できること」を日々コツコツを積み重ねていくことが、1年後、2年後に確実にプラスになります。

「都立高校一般入試まるわかり」企画・第3弾はいかがでしたでしょうか。第5弾は英語の問題分析、傾向と対策を解説します。どうぞお楽しみに!

石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)