受験(受検)結果に左右されない切り替え方・受け止め方・接し方


執筆
石井 知哉(いしい ともや)
受験結果の受け止め方
都立高校の推薦入試の合格発表が出ました。合格に喜ぶ受検者もいれば、不合格に落ち込む受検者もいます。
残念ながら涙を飲むことになったお子さんや親御さん。心中をお察し致します。
「不合格」の3文字を突きつけられて嬉しい人はいません。いつだって誰にとっても辛いものです。合格目指して一生懸命取り組んできたのであれば、なおさらです。
「過ぎたことをいつまでも引きずらずに早く立ち直って欲しい。でも、どう声をかけていいのかわからない・・・。」
親御さんとしても、悩ましいところではないでしょうか。でも、お子さんを責めることだけは、決してしてはいけません。誰よりも傷つき、落ち込んでいるのは他ならぬお子さんなのですから。
ここで気持ちが縮こまったままでは、一般入試に向けての勉強に身が入らなくなります。それだけは避けなければいけません。
まずはお子さんに寄り添い、痛みを理解・共感すること。これこそが親御さんにして頂きたいことです。
不合格を“エネルギー”に変える
「幸福の扉の1つが閉じる時は、別の1つが開きます。けれど私たちは閉じたほうばかりながめていて、こちらに向かって開かれているもう1つのほうに気付かないことが多いのです。」
これはヘレン・ケラーの言葉です。
「推薦入試で合格する」という“幸福の扉”は閉じました。閉じてしまったのです。
しかし、「一般入試で合格する」という別の“幸福の扉”が開いたのです。過ぎた推薦入試をいつまでも引きずって、これからやってくる一般入試に目を向けられないのは、実にもったいないことです。
立ち直るための第一歩は、まず冷静さを取り戻すことです。そのためにも、都立入試の実情をおさらいしておきましょう。まず、推薦入試の倍率は3倍強。つまり、3人のうち2人は不合格なわけですから、落ちる受検者の方が断然多いわけです。
そしてもう1つ。
どの高校も、推薦の募集枠よりも一般の募集枠を多く設けています。つまり、推薦合格者よりも一般合格者の方が圧倒的に多いのです。
入学者のうち大多数は、推薦入試で不合格を味わいます。しかし、そこから立ち直り、這い上がり、努力を重ねて、一般入試合格をつかみ取るのです。さあ、本当の勝負はこれからです。
「合格掲示板に自分の受検番号がない」という衝撃は、筆舌に尽くし難いものです。しかし、心に刻みつけたその悔しさ、その悲しさは、更なる成長を導くエネルギーへと化けます。
こうして培った精神力や行動力は、社会生活を送る上で大いに役立つものです。高校受験のその先の人生において、何よりも強い武器となることでしょう。それらは、推薦で合格したのでは、決して得られることのないものです。
そう、推薦不合格は“通過点”に過ぎません。人生の既定事項ですが、いつまでも引きずるような“傷”ではありません。学校や塾で、同じように推薦不合格を味わった友達と励まし合いながら、その“傷”を癒やし、一般入試に向けて全力を注いでいきましょう。
“下りのエスカレーター”を駆け登れ!
これから一般入試までの数週間は、“最も成長できる時期”です。
「もしかしたらまた不合格を味わうのではないか・・・?」という不安は誰もが抱えるもの。しかし、受験生は不安と闘いながら勉強に打ち込まなければなりません。そこで感じるプレッシャーはとてつもなく大きいものです。
しかし、そうした“極限状態”を乗り越えて、一回りも二回りも強くなれるはずです。
受験とは「下りのエスカレーターを歩いて上るようなもの」です。今こうしている間にも、本番までの時間は刻一刻と減り、他の受検者たちは努力を重ねていきます。
これからの1日1日の努力がすべて、“合格につながる道”です。
これからの1分1秒の行動がすべて、“合否を分ける分岐点”です。
努力は決して人を裏切りません。憧れの高校で入学式を迎えられることを、毎日イメージしながら、 残りの時間、精一杯走り続けてください。
頑張れ、受験生!!
親御さんも色々と心配は尽きない時期になるでしょう。しかし、焦りは禁物です。
合格するためには、学力・体力・精神力の3つが不可欠です。睡眠や食事をはじめ、生活習慣の維持・向上は、家族にだけ可能な唯一無二の最高のサポートなのです。
最後まで、お子さんを暖かく見守り、支えてあげてください。

執筆
石井 知哉(いしい ともや)