内申点から都立一般入試の目標点を知る計算式
執筆
石井 知哉(いしい ともや)
都立入試のゴールを見つける5ステップ
東京都立高校の一般入試は、調査書点と学力検査得点の合計した得点で合格・不合格を判断します。
※総合得点は1,000点満点です。
一部の学校は作文や面接、実技検査を実施します。その場合は、総合得点は1,000点を超えますが、それでも調査書点と学力検査得点が非常に重要です。
とはいえ、こうした計算の方式や共通問題で試験を実施することから、都立高校一般入試は、合格するための学力検査得点がわかりにくいのです。やみくもに勉強するのは、“ゴールの見えないマラソン”をするようなもの。意欲も湧きませんよね。
※エンカレッジスクールや定時制チャレンジスクールなど、学力検査を実施しない高校もあります。こうした学校では、面接や作文、実技検査や志願申告書を得点化して合否を判定します。
志望校に合格するためには、「合格するために何点必要なのか」を知ることが第一歩です。これによって、具体的な勉強の内容・方法がはっきりし、効率の良い対策を行えるのです。
そこで、「合格するために何点必要なのか」を出しておく必要があるのです。以下5つのステップで計算していきましょう。
- 志望校の合格目安の総合得点を調べる
- 自分の換算内申を出す
- 自分の調査書点を出す
- 合格に必要な学力検査得点を出す
- 本番での必要得点を出す
続いて、各ステップについて、具体的に見ていきましょう。
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志望校の合格目安の総合得点を調べる
高校受験の案内本を見れば、簡単にわかります。中学校の進路指導コーナーに置いてあることが多いようです。ない場合は、中学校の先生に相談するのも手です。
これで志望校に合格するために必要な総合得点がわかります。「見込みあり」もしくは「60%合格ライン」という形で出されている場合は、それに40点を加算したものが、「合格濃厚」もしくは「80%合格ライン」と考えて結構です。
自分の換算内申を出す
ここからは自分の持ち点を出していきます。受ける高校の学力検査の教科数によって異なりますが。5教科の場合は65点満点、3教科の場合は75点満点です。
<5教科の場合>
国語、数学、英語、社会、理科→そのまま合計する…①
音楽、美術、保健体育、技術・家庭→合計した後2倍する…②
①と②を合計したものが換算内申です(合計65点満点)。
式:(国語+数学+英語+社会+理科)+(音楽+美術+保健体育+技術・家庭)×2=換算内申
<3教科の場合>
国語、数学、英語→そのまま合計する…①
社会、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭→合計した後2倍する…②
①と②を合計したものが換算内申です(合計75点満点)。
式:(国語+数学+英語)+(社会+理科+音楽+美術+保健体育+技術・家庭)×2=換算内申
コースを置く都立高校のコース、単位制高校、専門学科のある高校、学力検査の代わりに面接・作文を実施する定時制高校の場合は、別に定められています。
自分の調査書点を出す
ステップ2で出した換算内申から、調査書点を計算します。学力検査と調査書の比率が高校によって異なるため、それによって調査書点の満点が違ってきます。比率は、制度上は2パターンで、7:3と6:4があります。平成28年度入試から、7:3が原則となりました。6:4や5:5は少数派です。
- 比率が7:3の場合(学力検査:700点満点/調査書:300点満点)
換算内申の満点(5教科入試なら65点、3教科入試なら75点)に対する自分の換算内申の割合を元に、300点満点での得点に引き直します。式:自分の換算内申÷換算内申の満点(65または75)×300=調査書点
- 比率が6:4の場合(学力検査:600点満点/調査書:400点満点)
換算内申の満点(5教科入試なら65点、3教科入試なら75点)に対する自分の換算内申の割合を元に、400点満点での得点に引き直します。式:自分の換算内申÷換算内申の満点(65または75)×400=調査書点
- 比率が5:5の場合(学力検査:500点満点/調査書:500点満点)
換算内申の満点(5教科入試なら65点、3教科入試なら75点)に対する自分の換算内申の割合を元に、500点満点での得点に引き直します。式:自分の換算内申÷換算内申の満点(65または75)×500=調査書点
合格に必要な学力検査得点を出す
調べた合格目安の総合得点から、算出した自分の調査書点を引きます。
式:総合得点−調査書点=合格に必要な学力検査得点
ここで、びっくりする程高い点が出ても驚かないでください。あくまで、700点満点あるいは600点満点での数値なのですから。
本番での必要得点を出す
ステップ4で求めた学力検査得点を、500点満点(3教科の場合は300点満点)に引き直します。これでいよいよ、「入試当日のテストで何点取れれば合格できるのか」がはっきりします。このステップも、教科数や学力検査と調査書の比率によって異なります。
5教科の高校ならば、 500点満点に引き直します。学力検査と調査書の比率によって、次のように異なります。
- 比率が7:3の場合(学力検査:700点満点/調査書:300点満点)
700点満点中の自分の学力検査得点の割合を元に、500点満点での得点に引き直します。500/700をかければいいので、5をかけてから7で割れば求められます。小数点以下は、切り上げておきましょう。式:学力検査得点×5÷7=本番での必要得点〔500点満点での数値〕
- 比率が6:4の場合(学力検査:600点満点/調査書:400点満点)
600点満点中の自分の学力検査得点の割合を元に、500点満点での得点に引き直します。500/600をかければいいので、5をかけてから6で割れば求められます。小数点以下は、切り上げておきましょう。式:学力検査得点×5÷6=本番での必要得点〔500点満点での数値〕
- 比率が5:5の場合(学力検査:500点満点/調査書:500点満点)
ステップ4で出した学力検査得点が既に500点満点中の数値です。これ以上の計算は必要ありません。
3教科の高校ならば、300点満点に引き直します。学力検査と調査書の比率によって、次のように異なります。
- 比率が7:3の場合(学力検査:700点満点/調査書:300点満点)
700点満点中の自分の学力検査得点の割合を元に、300点満点での得点に引き直します。300/700をかければいいので、3をかけてから7で割れば求められます。小数点以下は、切り上げておきましょう。式:学力検査得点×3÷7=本番での必要得点〔300点満点での数値〕
- 比率が6:4の場合(学力検査:600点満点/調査書:400点満点)
600点満点中の自分の学力検査得点の割合を元に、300点満点での得点に引き直します。300/600をかければいいので、2で割れば求められます。式:学力検査得点÷2=本番での必要得点〔300点満点での数値〕
- 比率が5:5の場合(学力検査:500点満点/調査書:500点満点)
500点満点中の自分の学力検査得点の割合を元に、300点満点での得点に引き直します。300/500をかければいいので、0.6をかければ求められます。式:学力検査得点×0.6=本番での必要得点〔300点満点での数値〕
以上の手順で求めた得点が、一般入試当日で取るべき点数です。これを教科の数で割れば、1教科当たりの得点がわかります。
式:必要得点÷教科数=1教科当たりの必要得点
もし、ここで70点と出たからといって「全教科で70点取らないといけない」というわけではありません。「数学は60点だけど英語が80点」となっても、結果的には両教科とも70点と同じことです。ですから、「得意な教科で稼いで苦手な教科の保険にする」という作戦は非常に有効です。教科ごとに目標得点を立てておくのがおすすめです。
さあ、これで、具体的な目標得点がわかりました。その目標に向けてひたすら努力あるのみです。実らない努力はありません。入試本番までに実るかどうか、あとは時間との闘いです。
執筆
石井 知哉(いしい ともや)