国語の『漢字』を記憶する5つの覚え方
執筆
石井 知哉(いしい ともや)
漢字は入試・テストの得点源になる!
文部科学省の指導要領によると、配当漢字は小学校で約1,000、中学校でも約1,000とされています。ですから、義務教育で合計約2,000個もの漢字を習うことになります。
定期テストや高校入試でも、漢字の読み書きは必ずと言っていい程に出題されます。配点もそれなりに高く、決して軽視できません。知っていれば得点になる貴重な単元ですから、得意分野にしておきたいものです。学校のテストや入学試験だけではありません。『漢字検定』などの資格取得や、就職試験突破のためにも、漢字の勉強は避けて通れません。
漢字が得意な人は「覚えるだけだから簡単」と言うわけですが、漢字が苦手な人からすれば「その“覚えるだけ”が難しいから苦労しているのに」と言いたくもなりますよね。実は、漢字が得意な人が勉強の際に自然と意識していることがあります。では、漢字はどのように勉強すれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
漢字を記憶する5つのポイント
漢字を覚えるためのコツを以下にご紹介します。
「時間をかけて勉強しているのになかなか覚えられない」とお悩みの方は、まずは以下の5つのポイントを順番にチェックしてみてください。今まで余り意識してこなかった部分に気を付けて勉強するだけで、漢字を覚えやすくなるはずです。
1. まずは“読み”が先、それから“書き”を覚える
読めない漢字を書くことはできません。読みも意味もわからない漢字は、ただの“点と線の集まり”です。無意味な記号に過ぎません。まずは声に出して読めるようにするのが先です。読みが完璧になったら書く練習を進めます。
2. 音読みも訓読みも両方覚える
「青」「清」「晴」「請」という4つの漢字を例に挙げましょう。どれも音読みにすると「セイ」です。しかし、ここからそれぞれの意味の違いはわかりません。
一方、訓読みにすると、それぞれ「あお(い)」「きよ(い)」「は(れる)」「こ(う)」。こうして初めて意味もわかりやすくなります。
意味との関連付けがあると記憶しやすくなるのです。ですから、訓読みと音読みをセットで読めるようにする必要があるのです。音読みの場合は「青雲(せいうん)」「清流(せいりゅう)」「晴天(せいてん)」「請求(せいきゅう)」等の熟語とセットにするのがおすすめです。「請求の請だからセイだ」というように覚えやすくなります。
3. 部首を意識して覚える
漢字には、「へん」「つくり」「かんむり」「あし」「たれ」「にょう」「かまえ」等の部首があります。部首を意識すると、読み方や意味を楽に覚えられるようになります。
たとえば、前述の「青」「清」「晴」「請」を見てください。共通点として、4つとも「青」が入っています。「青」が音読みで「セイ」ですから、これら4つの漢字が共通して「セイ」と読むこととリンクします。
あとは「へん」が異なるだけです。「さんずい」「にちへん(ひへん)」「ごんべん」がそれぞれどんなグループの意味を持つのかを考えると、イメージがつきやすく、意味が覚えやすくなります。
このように、部首は読み方や意味を覚えるための大きなヒントになります。
たとえば、間違えやすい漢字として、
せいせき→→→ ○:成績 ×:成積
がありますが、これも部首の違いです。どうして「のぎへん」ではなく「いとへん」を使うのか、という点を考えると、こうした間違いを避けられます。
4. 書き順とトメ・ハネ・ハライを守って手で書いて覚える
書き順やトメ・ハネ・ハライは、漢字を書く際の自然な筆の運び方です。これらを意識しながら手を動かすことで、“手が覚えてくれる”ことがあります。「イチ、ニイ、サーン、シイ、ゴーオ、ロク・・・」というように、一画一画リズムに乗りながら書いて覚える習慣をつけましょう。
なお、入試問題では「楷書で書きなさい」と指定されることもあります。(東京都立高校の一般入試など)
ここでは、一画一画を続けずに正確にはっきりと書くことが求められていますから、崩し字や殴り書き、丸字はすべて×です。書き順とトメ・ハネ・ハライに注意しましょう。
5. 分解して覚える
多くの漢字が、別の漢字の組み合わせから成り立っています。たとえば、「読」という漢字も分解すれば「言」と「売」になります。
もちろん、基本的な漢字は小学校低学年に配当されているわけです。どうしても覚えられない、というのであれば、その原因が戻って復習するのも手です。思い切って小学校レベルにさかのぼり、全部確認して抜けているものは覚えるようにしましょう。
音を表すひらがなやカタカナ、アルファベットと違い、漢字は一文字一文字が意味を持ちます。漢字を使いこなすことは、国語力の根本であり、読む力や書く力を向上させる第一歩です。
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石井 知哉(いしい ともや)