『全教科対応』勉強にもってこい、4つの記憶術
執筆
石井 知哉(いしい ともや)
記憶の極意は苦手を可視化し、隙間時間を活用すること
記憶するために必要なのは、とにかく回数です。とはいえ、効率良く進めるためには、可能な限り無駄は省きたいもの。
そこで、大事なのは“狙い撃ち”。1回目に正確に覚えていなかったものだけを徹底的に繰り返す。これだけでかなり時間効率が上がります。
- 【手順】
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正解できなかったものは必ず印をつける
“間違えた”、“わからなくて飛ばした”、“当てずっぽうがたまたま合っていた”ものに印をつけましょう。印は○でも×でも☆でもなんでも構いません。自分の気分が上がるものにしましょう。
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印のついたものだけをもう一度
1回目で覚えていたものは、時間短縮のためスキップします。 -
2回目も不正解ならまた印をつける
2回で覚えられなかったものは印が2つつくことになります。 -
[その2]と[その3]を繰り返す
1つでも印がついているものは必ず反復してください。 -
最後は全体を通して復習
「一通り覚えられた」と思ったら、また1ページ全部を通しでチャレンジしましょう。これで全部覚えていればクリアです。覚えられていないものはまた反復します。
3つ以上印のついたものは、特に苦手で記憶に残りにくいもの、いわば“殿堂入り”です。せっかくなので、これらだけをルーズリーフにまとめておきましょう。ルーズリーフは折りたためるので、コンパクトに使えて持ち運びも便利です。
これを通学中や休み時間、トイレやお風呂に入るとき等、“隙間時間”に使ってみましょう。短い時間を有効に活用できますよ。もちろん、歩くときは人や乗り物にぶつからないように要注意です。
基本的に暗記作業は机に向かわなくてもできることですから、できる限り“隙間時間”を使うべきです。一方、机に向かうときは、計算や記述など、実際に紙に書く作業の必要な勉強に充てた方が良いと思います。
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丸暗記は役立たず。役立つ記憶の作り方
記憶に必要なのは、とにかく反復です。しかし、やみくもに繰り返して“順番通り”に記憶すると、マイナスになることもあります。問題内容に関係なく、答えを順番に覚えているだけですから、問いの順番が入れ替わると対応できないのです。
これは悪い意味での“丸暗記”です。もちろん、「記憶した順番の通りに出題される」なんて都合の良いことはありません。ですから、これでは、実際のテストや試験では役に立ちません。
こうした失敗をしないために、意図的にパターンに変化をつけるようにしてみましょう。
- 【手順】(たとえば全部で10個覚えたい場合)
- 1→10まで順番に
- 10→1まで逆順に
- 1→3→5→7→9と奇数だけを順番に
- 9→7→5→3→1と奇数だけを逆順に
- 2→4→6→8→10と偶数だけを順番に
- 10→8→6→4→2と偶数だけを逆順に
ここまでやれば、順番通りの“リピート”と並び替えての“シャッフル”。“リピート&シャッフル”で脳にゆさぶりをかけることが、“強く柔軟な記憶”を作ります。
感情を味方にすると、記憶力は向上する
「友達同士で問題を出し合う」というのは、いつの時代も盛り上がるようです。クイズのようにすることで、同じ勉強が楽しくなるのだから不思議なものです。
やはり競うことは大いに刺激になります。ですから、「誰かと問題を出し合う」というのも記憶を高める手法です。ワクワクドキドキ感は集中を高めてくれますし、感情を伴うと記憶に残りやすいともいわれています。
「ポイント制にして負けた方が罰ゲーム」というルールで対戦するのがおすすめです。罰ゲームは、「腕立てや腹筋などをしながら間違えた問題の答えを言う」とすると、負けても記憶のトレーニングができて一石二鳥です。人と競うのがイヤなら、自分で問題カードを作って、“一人バトル”というのも面白いと思います。
図示する記憶術を使いこなせ
人間には得意不得意があります。ですから、「言葉で正確に説明された方がわかりやすい」という人もいれば、「イラストや図の方がイメージしやすくていい」という人もいることでしょう。
そこで、こうした向き不向きに合わせて、マインドマップやメモリーツリーといった手法を使ってみるのも、高度ですが効果的な記憶テクニックです。
書き方を詳しく紹介している書籍やサイトがたくさんあります。定期テストや受験にも大いに役立ちますから、興味があれば活用してみてはいかがでしょうか。
ただし、これらを使う上で注意点が2つあります。
第1に、慣れていないと作ることに時間がかかります。あくまで記憶しやすくするための“道具”であって、「作っておしまい」ではありません。ですから、試験の直前に作っても頭に入れる時間が絶対的に不足して、覚えきれません。
第2に、概念や用語の相関関係を把握しやすくしたものですから、教科によって「合うか合わないか」がはっきりしています。
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向いている教科:記憶した知識がそのまま武器になる教科
例)社会、理科 -
向いていない教科:記憶した知識を活用して論理的に思考を重ねる教科
例)数学、国語、英語(ただし、英単語については効果的)
これらテクニックを駆使して、自分に合った記憶術を確立させましょう。そうすることで、今までの何倍ものスピードで覚えていくことが出来るはずですよ。
執筆
石井 知哉(いしい ともや)