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記憶力とは?勉強しても忘れない記憶の作り方

記憶力とは?勉強しても忘れない記憶の作り方
定期テストにも受験にも「覚える」という作業は不可欠です。しかし、「なかなか覚えられない」という悩みは誰にでもあるもの。そこで今回は「定期テストにも受験にも役立つ記憶術の基本」を紹介します。
石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)

「なかなか覚えられない」のはなぜ?

記憶術の話をする前に、まず頭に入れておいて頂きたいことがあります。それは、「人間の脳は忘れるようにできている」ということ。

脳は最も消耗の激しい器官とも言われており、記憶を維持するだけでもたくさんのエネルギーを必要としています。人間は日常生活の中で膨大な量の情報に接していますが、そのすべてを記憶していたら、脳がパンクしてしまいます。そのため、脳は記憶する情報を極力少なくしようとするわけです。

つまり、本来、脳は“忘れるようにできている”のです。「覚えようとしているのに覚えられない」のも「覚えたのにすぐに忘れてしまう」のも、脳のはたらきからすれば当然のこと。「頭が悪くて困る」などと悲観することはありません。人間なら仕方のないことなのです。

言い方を変えれば、「簡単に覚えられない」のが当たり前のことなのです。記憶のためには、時間と努力が必要なことも確かです。しかし、脳のはたらきを知り、記憶のメカニズムを上手に活用すれば、効率的に記憶することが可能です。

「忘れない」とは「短期記憶」を「長期記憶」に変えること

パソコンのワープロソフトや表計算ソフトで入力したものは、放っておけば残りますが、シャットダウンすれば消えてしまいますね。これが「短期記憶」です。でも、データを保存すれば、シャットダウンしてもハードディスクに残ります。これが「長期記憶です。

いつまでも残ってくれるのは「長期記憶」ですが、すぐにアクセスできるのは「短期記憶」ですから、どちらも両方必要です。

とはいえ、勉強面で必要なのは、「長期記憶」の方ですよね。したがって、ポイントは「いかにして短期記憶を長期記憶に変えるか」という点になります。

人間の脳のうち「海馬(かいば)」という部位が新しい記憶を司るとされています。ここで「海馬」が情報の必要・不必要を判別して、必要な情報を「短期記憶」から「長期記憶」に変えてくれるわけです。

記憶力を高めるための3つの原則

記憶しやすくするためには、脳の海馬のはたらきが大切であることはご理解頂けたと思います。したがって、人間の脳の仕組みに基づき、次のような基本原則を踏まえると、効率良く記憶することができます。

  1. 記憶は回数
  2. 睡眠が大事
  3. 声に出す&耳に残す、手で書く&目で見る

それぞれ順に詳しく解説していきます。

基本原則1:記憶は回数

「別に覚えよう」とは思っていないのに、何度も耳にしたCMソングを口ずさんでいた。こんな経験はありませんか?

海馬が情報の必要・不必要を判別する際には、いくつかの判断材料がありますが、その中でも特に大きなウェイトを占めるのが、回数です。同じ情報が何度も繰り返し入ってくると、海馬が「必要である」と認識しやすく、「長期記憶」に変わりやすいのです。

ですから、とにかく反復する事が大事ということですね。

基本原則2:睡眠が大事

「寝たら忘れるから徹夜でテストに向かう」と言う中学生は多いようです。しかし、これは大いなる間違い。絶対に避けるべきです。

「短期記憶」が「長期記憶」変わるためには、睡眠が必要不可欠です。睡眠中に情報をセレクトし、必要なものだけを「長期記憶」に変えるわけです。ですから、寝ないと忘れてしまうのです。充分な睡眠をとる必要があります。

また、暗記ものは寝る前が最も効果的といえます。寝る前の30分から1時間は「暗記ものの勉強タイム」と決めて習慣化するのがおすすめです。

基本原則3:声に出す&耳に残す、手で書く&目で見る

「この漢字、どう書くかははっきり覚えていなかったけど、鉛筆を持ったら書けた」
「かけ算九九なんて何年も使ってないけど、試しに口にしたら言えた」
こんな経験もあるでしょう。たとえるなら、漢字は「手が覚えている」わけですし、かけ算九九は「口が覚えている」わけです。

聞くことや見ることは覚えるためには必要ですが、それだけでは不充分です。自分で口に出すことや書くことで、“記憶の糸口”が増え、忘れにくくなるのです。ですから、実際に体を使って覚えるのが効果的です。

努力は必ず実ります。記憶については、まずは量です。しかし、努力の方法を間違えては、どんなに量を重ねても成果は出にくいのです。適切な方法で量をこなしていけば、必ず努力は実を結ぶはずです。

石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)