高校受験の種類、都立と私立でこんなに違う!?
執筆
石井 知哉(いしい ともや)
都立高校と私立高校のイメージの違い
大抵の方が3年間、ほぼ毎日のように通うことになる高校。「合わないな」「あっちの高校の方が良かったな」なんて思いはしたくないもの。
では、自分にピッタリな学校ってどこなのだろうか? 頭を抱えている方もいるのだと思います。
まず大きな枠組みとして公立(都立)高校と私立高校という2つの学校カテゴリが存在します。
ここ数年は、比較的に都立が人気な傾向があるようです。また、「自由」「ゆるい」というイメージが多いのも都立高校。しかし実態は、そこまで自由な学校は目立ってはいません。生活指導に力を注ぐ学校などもありますので、都立高校の全てが「自由」を手に入れられる場所ではないのです。
一方、私立高校はどうでしょうか? やはり私立となると「学費」が気になりますね。中には経済的な理由から「うちは絶対に都立しかダメ!」とお子さんに言い聞かせているご家庭もあるのではないでしょうか?
しかし今は、「特待生制度」が以前に比べて充実しています。成績別に優遇差はありますが、3年間授業料免除や1年間授業料免除、入学金の免除などなど。これらの優遇内容は学校によって違いますし、優遇を受けられる評価基準も異なります。
ある学校では内申点で評価したり、他では当日の入試の結果で評価したりしています。もし、「今まで私立の選択肢は全く考えてこなかった」という方は、一度考え直してもいいのではないでしょうか。
また学校を選ぶ際は、ぜひ一度足を運ぶことをお勧めします。書籍やインターネットからでは伝わりきらない魅力がきっとどの学校にもあるはずです。
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高校受験の種類
都立一般入試の特徴
都立の一般入試は原則、全校共通の問題です。また2016年度よりマークシート方式が導入されています。早いうちから慣れておくべきです。尖ったシャープペンシルより丸くなった鉛筆の方が書きやすいので準備は必須です。
※一部の高校では、自校で独自に作成した問題を使います。
試験の内容は中学2年3学期までの内容が70%を占めます。中2のお子さんは、一度過去問を解いてみるといいでしょう。例えば、今習っているであろう数学の「一次関数」や「図形の角度・証明」などの授業内容が高校受験に直結していることがよくわかるはずです。これは中1のお子さんも同様ですね。つまり、受験対策は何も中学3年生になってからしかできないわけではないのです。
また1問当たりの配点が高いのも特徴の1つです。国語の漢字の読み書きは1問2点ですが、その他の教科では、4点や5点の問題ばかり。そのため計算ミスやうっかりミスが合否を大きく左右します。「あと1問正解していれば・・・」と嘆く中学生は毎年いるのです。
さらに問題文も長文が多いのでやっかいです。読み取る力だけではなくて、そのスピードにも注意が必要です。もしかするとじっくり読んでいる時間の余裕はないかもしれません。日頃から本や新聞で長い文章を読むことに慣れておくといいでしょう。
私立一般入試の特徴
大抵の私立の一般入試は3教科で行われます。国語、数学、英語の3教科です。最近では英語と国語・数学のどちらかの2教科という方式の学校も出てきました。試験問題の内容は当然学校によって異なります。
都立との大きな違いの一つは内申点の影響力です。私立一般入試の場合、内申点はほぼ影響しません。当日の試験結果が全てだと考えておいても問題ないでしょう。また問題数も多く、そのため1問当たりの方が低いのも特徴です。そのため、思い切って“捨てる”問題をつくるという判断も大切ですね。
ともかく問題が学校別なので、受験予定の私立学校があれば、過去問で勉強するのをお勧めします。もちろん本番同様、時間を計ると、より効果的な勉強になります。
都立推薦入試の特徴
都立推薦入試は学力検査がありません。調査書点(内申点)と面接、集団討論、作文または小論文で合否が決まります。
受検資格は中学校の校長先生から高校側への推薦です。基本的には、受検資格は得られやすいのですが、倍率は平均約3倍で、中には7倍や8倍の学校もあるのです。合格しにくい、非常に狭き門です。また、受検自体はしやすいといっても、素行が悪い生徒は中学校から推薦されません。また欠席・遅刻は大きな減点ポイントです。年間で10日以上あれば、厳しい現実が待っています。風邪を引きやすいお子さんは要注意。体調不良などにも極力ならないように体調管理も気をつけておくべきです。
私立推薦入試の特徴
私立推薦入試は複数の受験方法があります。私立高校が第一志望なのであれば、「単願推薦」という受験方法をお勧めします。これは、合格基準を少し下げて受験できる代わりに、合格したら、必ずその学校に行くという約束のもと行われる受験方式です。「単願推薦」であれば大抵が合格となりますが、あまりにも非常識な行いをした生徒が不合格になったというケースもありますので、気は抜けません。
その他、公立高校を第一志望として、受検する「併願推薦」もあります。また東京独自の「併願優遇」という制度もあります。これは学校説明会に行った後に、中学校の先生と調整して受ける制度です。これも通常の試験よりも低い合格基準で入試を受けられるので活用しない手はありませんね。
ここまで説明したように一口で「高校受験」といっても、いろいろな制度やルール、方法があります。知っておいて損をすることはありません。本当に行きたい高校があるのであれば、もっと貪欲に情報収集してもいいのではないでしょうか?
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石井 知哉(いしい ともや)