平成28年度(2016年度)、都立入試の制度が変わります。
執筆
石井 知哉(いしい ともや)
教科数が変わる!!
入試の学力検査の教科の数が変わるということ。平成27年度入試までは、学校により「3教科~5教科」という形で決められています。では、平成28年度以降の都立入試は、どのように変化するのでしょうか?
第一次募集時(分割前期募集)と第二次募集時(分割後期募集)とでご紹介します。
- 第一次募集
原則として、全ての都立高校が国語・数学・英語・社会・理科の「5教科」で学力試験を実施する。 - 第二次募集
原則として、全ての都立高校が国語・数学・英語の「3教科」で学力試験を実施する。
また学校によっては、それぞれの学力検査にプラスして「面接」や「作文」「実技検査」が取り入られることもあります。
つまり、第一次募集時においては、志望校に関わらず5教科全ての勉強が必要になるのです。これは、高校入試で中学3年間で身に付けた各教科の学力をきちんと見るためであり、これらの学力が高校の学習の基盤になるからだと考えられています。「理科が苦手」「社会が苦手」という方は、今の内から準備をしておいた方がいいでしょう。
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学力と内申点(調査書点)の評価比率が変わる!!
都立入試では、入試当日に行われる学力検査と合わせて調査書と呼ばれる中学生活の学習の成果を数値化したものを評価対象としています。調査書は、高校に提出する内申点というイメージで問題ありません。
この2つの評価比率が変化するというのです。
平成27年度入試までは、高校側が学力検査:調査書の比率を、「7:3」「6:4」「5:5」「4:6」のいずれかだと決めておりました。これが、平成28年度からは次のように変化しました。
- 第一次募集
原則として、全ての都立高校が学力検査:調査書の比率を「7:3」で評価する。 - 第二次募集
原則として、全ての都立高校が都立高校が学力検査:調査書の比率を「6:4」で評価する。
平成27年度入試までは、学校によって比率はバラバラでした。これが、平成28年度以降、原則として統一される形になります。この比率はどちらかといえば、当日の学力試験を重視しているように受け取れますが、東京都教育委員会は、この比率への変更の理由を、「学力をバランスよく評価するため」としています。
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内申点(調査書点)算出のための換算方法が変わる!!
都立入試の調査書点の算出方法は、通知表に記載された評定の単純な合計点(「素内申」)だけではありません。音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科の評定は重く計算しています。それらの合計を「換算内申点」と呼び、一般入試での調査書点として扱います。
平成27年度の入試までは、5教科評定の合計と、4教科の評定にそれぞれ「×1.3」または「×1.2」したものを足したものが換算内申として扱われていました。
しかし平成28年度以降の入試は、5教科評定の合計と、4教科の評定にそれぞれ「×2」したものとの合計が換算内申となるのです。これは、4教科の重みがますます大きくなるということを意味します。
なぜなら、中学校の学習活動において9教科すべてが大切だからです。しかし、当日の入試では実技4教科は学力検査に含まれません。また学力検査と調査書点の評価比率も学力検査が多くの割合を占めます。そんな中で、実技4教科の評価を正当にするため、評定を2倍にして評価する形になるのです。
こうなると、当日の学力検査の対策はもちろん大切ですが、普段の授業、学校生活もより一層気を引き締めて向かわなければいけませんね。
中学1・2年生のお子さんは、まずは内申点を上げることが「最高の受験勉強」なのです。「3年生になってから頑張ればいいや」などと油断していると、後で取り返しのつかないことになり、後悔することになります。もし都立高校入学を目指す気持ちがわずかでもあるならば、ほんの少しでもいいので、今のうちから内申点(調査書点)を上げることを意識した学校生活を送るようにしましょう。
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執筆
石井 知哉(いしい ともや)