2020年「小学校プログラミング必修化」の影響と今から備えておくべきこと
話には聞いているけど、どうもよくわからない・・・
そんな方も多いと思います。そこで、「必修化によってどんな影響があるのか?」「注意すべきことは?」「今から家庭で何をすればよいか?」を理数教育のスペシャリストがわかりやすく解説します。
執筆
伊丹 龍義(いたみ たつよし)
中学校・高校での学習への影響は?
今回のプログラミング必修化は大きな変化ですが、それでも中学・高校での授業への大きな影響はない、と考えています。
ただ、平成30年3月に文部科学省から学校教員・教育委員会に向けに出された「小学校プログラミング教育の手引き」(以下「30年手引き」)によれば、「コンピューターを使わないプログラミング的思考の育成」は認めつつも、「児童がほとんどコンピューターに触れないということは望ましくない」としています。このため、小学校段階でほぼ全員が、コンピューターに触れることにはなります。ですから、小学校で扱っている分、「中学校での技術の授業において、より深い内容まで進める」ようになります。また、小学校での理科実験でのプログラム使用はほとんどの学校で実践されると考えられるので、中学・高校でも、理科実験にコンピューターがより多く活用されるようになると思います。
ただ、その程度の変化で留まり、中・高において、すぐに根本的な変化とはならないのではないかと考えています。しかしながら、前述のように、地域・学校により、小学校段階でのプログラミングのカリキュラムが異なり、それらを通して得るものの差異が大きいと考えられるため、場合によっては、今以上に、中高の技術や理科実験の授業で苦戦する生徒が出てきてしまうとは考えています。
この章に関係のある記事はこちら
「必修化」に当たっての注意点は?
文部科学省の30年手引きによれば、プログラミング教育の目的は大きく次の3つです。
- プログラミング的思考を育む
- プログラムの働きに気づき、それを応用すること、もしくはその態度を育む
- 各教科の学びを確実にする
あくまで今回の必修化では、プログラミングの言語習得などが目的では無いため、「プログラミング必修化」に合わせて、テスト対策のため、プログラミング教室に通わなければならない、ということは全くありません。
ただ、「現在の小学生の大部分が、今、存在していない仕事(新しくできる仕事)につくだろう」といわれる時代において、ものごとを論理的に考え、ゼロから新しいものを作るときに役立つ「プログラミング的思考」は、さらに重要度が増していると個人的に考えています。
最近は、キーボードを使ってカタカタと入力する従来のプログラミングだけでなく、マウスでブロックを操作してプログラムを行う形式の「Scratch(マサチューセッツ工科大学)」なども登場し、かなり容易に始められるようになっています。これらを用い、気軽にゲーム感覚で、プログラミング的思考に慣れておくことは、とても効果的だと感じています。
もちろんこれを、本格的な習い事として行うこともできますが、ご家庭で、古いPCやタブレットと、本1冊で始められるものも多く出ているため、教室に通う前に保護者の方も確認いただければと思います。
家庭で今からすべきこと・できることは何?
先に挙げた、ご家庭内でのプログラミング体験に加え、身近にある物に「どのようなプログラムが組み込まれているのか」を考えることは、「①プログラミング的思考」の育成に大きく役立ち、さらに「②身の回りのものへの興味関心」も育みます。
例えば、大手のロボットプログラミング教室の授業の1つに「洗浄機能付きのトイレ」をつくろうというのもあります。これは、ボタン・センサーなどを含んだ便器を、ブロックを使って組み立て、「人が近づくとふたが空き、便座に人が座っているとき限定で、洗浄機が稼働する」という仕組みを、プログラミングで作る授業で、ロボットプログラミング講座の中でも人気の内容です。
このように、身近な物を題材にして、プログラミング的思考ならびに興味関心を養うことができますので、「これはどんな仕組みなんだろう」「これにはどんなプログラムが組まれているのだろう」のように一声かけることから、プログラミング教育は始められます! ぜひ、お試しあれ。
「ロボット教室」体験授業受付中
執筆
伊丹 龍義(いたみ たつよし)