中学校生活でスタートダッシュを切るために今やっておくべきこと
執筆
朝倉 浩之(あさくら ひろゆき)
「中1ギャップ」への理解と対策
「中1ギャップ」という言葉を聞いたことはありますか。小学校から中学校に進学する際に、新しい環境での学習や生活にうまく適応できないことをあらわす言葉です。今までの小学校生活では最高学年だった子どもたちが、6年間いた環境から新しい環境である中学校へと入っていくのです。初めてのことも多いため、最初は戸惑う子どもたちも少なくないことを塾での指導で毎年実感しています。戸惑ってしまう原因としては、学習内容が難しくなること、人間関係の変化、部活動の本格化があげられます。
子どもたちには、中学校生活を具体的にイメージできるような内容の話をすることが必要となってきます。人間は知らないから不安になるのです。学習内容が難しくなり学習量を増やす必要があること、他の小学校から新しい友人を作ることができるといった中学校生活の話をすることで子どもたちも安心します。
各教科に対する具体的なアプローチ
それでは中学校での学習に備え、具体的にどのようなアプローチができるでしょうか。
「英語」
今の子どもたちは「外国語活動」として小学校時代に英語に取り組んでいます。そのため英語に初めて触れる、ということはありません。しかしこれまでは「聞く」「話す」ことといった会話を中心に取り組んできているため「教科」としての英語には触れていません。中学校ではこの「聞く」「話す」に「読む」「書く」が加わり「教科」としての英語へとシフトします。
「教科化」ということはテストがあり、成績が数値化されていくということです。
このように小学校と中学校の英語には大きな違いがあることがわかります。それでは、その「教科」としての英語に対してどのようなアプローチが必要になるのでしょうか。それほど難しく考える必要はありません。
まずは、「アルファベット」の大文字と小文字をしっかりと書けるようすることです。子どもたちが中学校生活で最初に受けるテストでは「アルファベット」が出題されます。
英語は言語ですから、文字が書けないことには前に進めません。bとd、pとqなど小文字は間違えやすい傾向にあります。アルファベットを正しい形、正しい位置で書けるかどうかが中学校での試験の採点基準となります。4本線のノートを買ってしっかり練習しておきましょう。
「数学」
小学校では「算数」と呼ばれていた教科が、中学校では「数学」へと呼び方、そして内容も変わります。「算数」と「数学」のはじめの大きな違いは「負の数」が出てくることです。つまり、ゼロ0より小さい数です。今までのゼロ0より大きい「正の数」に加え、この「負の数」が出てきます。この「正負の数」が数学におけるいちばんはじめの学習単元です。
この「正負の数」は数直線をイメージすると非常に理解しやすい部分です。
-5 -4 -3 -2 -1 0 +1 +2 +3 +4 +5
- 数直線の中心をゼロ(原点)とします。
- 正の数は右に移動、負の数は左に移動させるイメージです。
- 例えば+5はゼロ(原点)から右の正の方向へ5移動する、-5はゼロ(原点)から左の負の方向へ5移動することをあらわします。
身の回りで「正負の数」が使われているものをさがしてみるものも「正負の数」を理解するのによい方法です。昨日より5℃高いので+5℃、2℃低いので-2℃など天気予報の気温差などがその例です。中学校の試験でも出題されますので早めに慣れておくとよいでしょう。
「英語」も「数学」もみんな同じところからのスタートです。スタートダッシュを切って得意科目にしていきましょう。
執筆
朝倉 浩之(あさくら ひろゆき)