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鶴見大附属中高の教科エリア・ホームベース型校舎

2013.10.22

約700年の歴史をもつ「總持寺(そうじじ)」を母体とする鶴見大附属中学校・高等学校(以下、鶴見大附属)。2009年から全ての教科に専用教室を設けた「教科エリア・ホームベース型校舎」で授業を行います。この校舎は建学の精神でもある「禅」の教えが基になっているそう。新型校舎がもたらす影響を副校長の見理先生に伺いました。以前の校舎も経験している生徒たちは、この新型校舎をどう捉えているのでしょうか?
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教科エリア・ホームベース型校舎とは、授業が全て専用の教室で行われる校舎

教科エリア・ホームベース型校舎は、音楽や美術などの一部の教科だけではなく、国語や数学、英語といったいわゆる一般科目にも専用の教室があり、生徒たちが授業ごとに専用の教室に移動して学ぶ校舎のことです。

校舎内は、「教科エリア」と呼ばれる専用教室群と、「ホームベース」と呼ばれるクラスルームに分かれています。ホームベースには、朝礼や昼食、終礼の時間に集まり、生徒たちの「人間性を育む」スペースとして機能します。

教科エリア・ホームベース型校舎 概要図
教科エリア・ホームベース型校舎 概要図

新型校舎は、気持ちの切り替えが上手くいく、目の前のことに集中できる

2005年、校舎老朽化による建て替えの検討を進めていた際、同学校法人である鶴見大学の教員からその存在を聞いて、調査を始めたのがきっかけです。

調査の結果、次のようなことがわかりました。 まず、教科エリア・ホームベース型校舎では、ホームベースに先生がやって来るのを待つという受け身の姿勢でいても授業を受けることができません。 授業を受けるために生徒たちは教科エリアの専用教室に移動し、授業が終われば気持ちを切り替え、また次の教室に移動します。そうすることで、勉強に対する自主性・主体性を伸ばすことができます。

また、専用教室で授業を行うことによって、他に意識を取られずに目の前の教科に集中できるという効果もあります。これは、「茶(さ)に逢う(おう)ては茶(さ)を喫し 飯(はん)に逢う(おう)ては飯(はん)を喫す」という禅の教えに合う考えとして、校舎の建て替えを決めたといいます。

取材中の編集部
取材中の編集部
理科の教室
理科の教室

こうした結果を踏まえて、新型校舎への建て替えが決定し、4年後の2009年に教科エリア・ホームベース型校舎は完成しました。

ガラス張りの教室にも理由がある。教科によって教室が違う理由

取材に訪れた際に驚いたのは、各教室の壁。全教室が廊下からでもよく見えるガラス張りになっていました。これも、「人に見られてもいい自分を目指しなさい」という禅の教えに由来しています。 これは、授業が行われる教室だけでなく、先生が使用する各研究室も同じです。 「ガラス張りにすることで、生徒が入ってきやすくなって、質問にくる生徒が増えました」と見理先生。

さらに各教室は、効率よく勉強ができるよう教科に適した形で設計されています。 例えば数学の教室は、黒板を教室の前後に用意しており、習熟度別にチームティーチングをする際に有用です。

理科の教室は実験用の広く大きな机と、筆記用の机が並行して並び、生徒たちは2つの机の間に座り、実験とメモする時とで机を使い分けています。 実験時は実験に、板書時は板書に集中することができるといいます。

他には、数人掛けの大きな調理実習用テーブルと座学や実食用のスペースが共存する家庭科の教室。 教室内にはシンクを設け、準備や後片付けの時間を短縮した書道の教室など。

これらの工夫は、実際に授業を行う各教科の先生の意見が取り入れられています。 そのため、何度も設計をやり直したので、「工事していただいた方にはお手数をおかけしました」と見理先生。

また各教科は、生徒の教科に対する興味を促し、更なる学力向上を目的にしたMEDIA(メディア)センターと呼ばれるスペースを持っています。 ここは各教科の先生が整備しており、時流にあった資料の展示や教科書の補助資料など、生徒の勉学を後押しする教材が置いてあります。 先生と生徒との交流の場として利用されるケースもあり、補習や相談などしている姿を見ることもできるそう。

社会のMEDIAセンター
社会のMEDIAセンター
家庭のMEDIAセンター
家庭のMEDIAセンター

さまざまなこだわりを持つ、完全分離型の教科エリア・ホームベース型校舎。 鶴見大附属の校舎を参考にしたいと、2013年9月現在、北は北海道から西は兵庫県まで、20以上の私学や自治体が見学に訪れています。 最近では海を越え、韓国からも見学に訪れるほど。

鶴見大附属がこだわり抜いた、教科エリア・ホームベース型校舎は国内に留まらず、海外にもその評判が届くほど、実用性と期待感があるのです。

900人が一斉に移動すると、コミュニケーションが増える

創意工夫の施された新型校舎は、生徒たちにどのような効果をもたらしたのでしょうか。

見理先生は、「授業間の移動でランダムに人が行き交うことによって、『声掛け』が活発になりました」といいます。「昨日の部活どうだった?」「先輩、こんにちは」など、別のクラスの生徒や先輩、先生とのコミュニケーションが増えたそう。

取材に訪れた際も、授業の移動時間でさまざまな過ごし方を目にしました。 授業が終わるとすぐに次の授業に移動して、友達と楽しそうに話をしながら待つ生徒や、教室に残り先生と話をする生徒。廊下で友達とふざけ合う、元気いっぱいの生徒など。 取材中の編集部を見つけると元気に、「こんっちはー」と挨拶をしてくれる生徒が多かったことも印象的です。

アンケート調査を実施!新型校舎に対する生徒の声

2013年9月時点で高校3年生の生徒は、新型校舎と以前の一般的な校舎の両校舎での学校生活を体験しています。 取材後、その生徒たちに、「新型校舎に替わってからの学校について」のアンケートに協力してもらいました。

「勉強する姿勢に関する変化について」の質問には、「教室移動によって、気持ちが切り替わる。集中できる」「次にどの授業を受けるのか、よく考えて前もって準備するようになった」という回答が目立ちます。

「学校の雰囲気や生徒、先生との関わり合いについて」は、「ホームベースが開放的になり、他クラスへの出入りがしやすくなった」「授業移動の際に他クラスの友達や先輩、後輩との交流が増えた」などの声が集まりました。

ホームベース
ホームベース

見理先生が感じていたことは、生徒たちも同じように感じているようです。 新型校舎は、勉強に対するメリハリがつくことをはじめ、人と人とのつながりさえも強くしているみたいです。

さらに、生徒の親御さんからの評判もいいようで、親子2代で鶴見大附属に通う生徒の母親から、「校舎が変わってから、子どもが(自分のことを)自分でやることが嫌がらなくなった気がする」といわれたと見理先生は嬉しそう。

生徒の自主性・主体性を伸ばすために校舎を建て替えた鶴見大附属。 約700年の歴史に支えられた、禅の教えを基に生徒の意識を変えていく学校が、神奈川県横浜市にあります。

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編集後記

学校を校舎から選ぶ、という選択肢。「茶に逢うては茶を喫し 飯に逢うては飯を喫す」と、その時その時を真剣に向き合う仏教の凄味を感じる校舎でした。

今回取材した学校について

鶴見大附属中学校・高等学校

神奈川県横浜市にある中高一貫校で、高校からの募集も行う併設校。また鶴見大学の附属校。仏教、特に禅の教えに基づく人格の形成を建学の精神としている。「自立の精神と心豊かな知性を育み、国際社会に貢献できる人間(ひと)を育てる」を教育のビジョンと掲げる。

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