公立高校一般入試の合格を「現実」に変える方法は存在する
執筆
石井 知哉(いしい ともや)
目次
入試は学力テストと内申点の総合評価である
公立高校の入試では、調査書点と学力検査得点との合計点で合否を判定します。調査書点とは、内申点を得点化したもの。入試当日の学力試験の得点が同じなら、内申点の高い受験生が合格するのです。
比重は高校によって異なりますが、総合点の10%~50%は調査書点が占めます。極端な話、内申点がオール1だと学力検査が全教科100点満点でも不合格、ということもあり得るのです。
中学3年2学期の評定を内申点とし、ここから調査書点を算定するのが一般的です。しかし、中2の2・3学期や中1の3学期も評価に入れる場合もあるので、要注意。「3年生になってから」などと油断していると、取り返しのつかないことになります。
中学1・2年生の間は、“普段の成績をあげること”が“最高の受験勉強”といえます。
目指す点数は受験校によって違う!
原則として、同じ都道府県内であればどの高校も同じ問題を使います。全体の平均点は50~60点といったところです。
しかし、高校によって受ける中学生の学力層が異なります。そのため、現実的には“学校のランク”によって、合格に必要な点数は変わってきます。1教科40点で合格する高校もあれば、1教科80点でも不合格となる高校もあるわけです。
もちろん、調査書点との兼ね合いもありますから、内申点が高ければ当日の学力検査で必要な得点は下がります。合格に必要な得点の目安があるので、現在の内申点から目標校の入試合格ラインを計算しておきましょう。
都立入試の傾向と対策、3つのポイント
公立高校の学力検査の一般的な特徴は、基本~標準レベルの問題が多いこと。 もちろん、難易度の高い問題も出題されますが、教科書レベルを超えることはありません。一言に公立高校といっても、都道府県ごとに入試問題の特徴は異なります。
【東京都共通問題の場合】
<出題の傾向>
- 全学年の内容がまんべんなく出題される。
- 1問4点から5点の問題が多い。
- どの教科も問題文が長く、読解を重視する。
<対策のポイント>
- 取りやすい問題から確実に取っていく
- 1問当たりの配点が高いため、1問のミスが大きな差につながる。
- 問題文や図表・グラフを速く正確に読み取る力が必要。
近年では、東京都や神奈川県を中心に、自校作成やグループ作成の問題で試験を実施する高校も増えつつあります。
まずは、こうした“傾向と対策”を把握すること。そのうえで、合格に必要な点数に届くように取りやすい問題で得点を積み重ねる。これが合格するために効率の良い受験勉強の方法です。
そのためにも、過去の入試問題は必須です。解説付きの問題集が市販されていますし、各都道府県の教育委員会ホームページが問題・正答を掲載していることもあります。知って損はないわけですから、調べるのは早ければ早いほど有利にはたらきます。
学力検査は得意を伸ばすより、苦手をなくせ!
入試当日の学力検査は、国語・数学・英語・社会・理科の5教科というのがほとんど。1日だけで実施するので、前日までに全教科バランス良く仕上げておく必要があります。
基本~標準レベル問題が多く出る公立高校入試ですから、苦手で点数を取れない教科は、逆に言えば“伸び代がある”ということ。基礎的な部分を固めれば、短期間でもグッと伸びやすいわけです。
理科・社会の試験を行わず、国語・数学・英語の3教科プラス作文や面接の試験を実施する高校もあります。この場合、入試日程が2日間に分けることが多いようです。
いずれにせよ、短期間でたくさんの試験を実施しますから、心身ともにタフさが必要です。
1・2年生は今すぐ始めよ!情報収集力が合否を分ける!
入試制度は都道府県ごとに決まっていますが、ある年度から変更されることもあります。前年度までは3教科受験だったのに、ある年から5教科に変更になった。ということも実際にありました。
こうした情報なしに受験に挑むのは、スポーツでいえばルールを知らずに試合に出るようなもの。「今のところどうなっているんだろう」という情報を常に集められるようにしておく。そして、変更があり得ることを見越して、幅のある対応をできるよう普段から心がける。こうした姿勢が志望校合格につながります。
最新情報については、中学校で教わることもありますし、教えない塾はないはずです。しかし、原則は自分で正確な情報を仕入れること。「そんなの知らなかった」「誰も教えてくれなかった」なんて言い訳は通用しないのです。
情報収集も受験勉強のうちです。受けたい公立高校を管轄する教育委員会のホームページでチェックしてみてはいかがでしょうか?
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石井 知哉(いしい ともや)