何をどう書く?読書感想文の書き方。導入・あらすじ・締めくくりの要素別解説


執筆
石井 知哉(いしい ともや)
目次
読書感想文が書ける3つの王道アプローチ方法
読書感想文を書く上でのアプローチ方法はいくつかあります。アプローチ方法を決めて、本記事でご紹介する要素を埋めていけば、読書感想文は難しい課題ではありません。 アプローチ方法とは、その本の感想を書くための「切り口」のことです。 例えば、以下のようなものがあります。
- この本を読んで、こんな発見をした
「○○ということが分かった」「今までは知らなかった」などの発見です。その発見により、お子さん自身がどう変わったか、まで書けるとよりGoodです。 - この本がおすすめ
本の良さを語りつつ、どのような人におススメなのか、なぜおススメなのかを語っていきます。 - 映像化された作品と、原作との違い
最近は映像化される作品も増えてきました。原作を読んでから映像化されたものを見ると、自分の描いていたイメージとの違いもあるかと思います。「私は○○をイメージしていたけれど、映像化作品では△△と表現されていて、~~」などのようなアプローチ方法も面白そうですね。
これらアプローチ方法については、「こういったアプローチ方法があるよ」と伝えた上でお子さんが選べばいいでしょう。もちろん、アプローチ方法は一つに絞らないといけないわけではありません。組み合わせて仕上げていくのもいいでしょう。
感想文の書き出し・書き始めは、本を選んだ理由から
感想文の書き始めは「つかみ」から入りましょう。つかみとは、自分がその本を読もうと思ったきっかけ、その本を選んだ理由です。 「○○に興味があったから」「主人公が自分と同年代だから」など。その本を手にして、読もうと思った理由がきっとあるはずです。
お子さんが書き出しで迷っているようであれば、「なぜこの本を選んだの?」と聞いてあげましょう。そこで「面白そうだったから」など具体的な理由が返ってこなければ、「なぜそう思ったの?」「どうしてそう感じたの?」と質問を繰り返してください。根気よく質問を重ねれば、お子さんは自らの思考を言語化することができるようになります。
その際に、一つ一つのお子さんからの答えに対して「うんうん」「なるほど」「そうなんだ」などのように肯定的なリアクションを返してあげることがポイントです。
また注意すべき点は、親御さんが先回りして「○○と思ったんでしょ?」と答えを導かないこと。これは思考の押し付けになります。お子さんの考える力を奪うことになりえますので、答えるのに時間がかかっても待っていてあげるべきです。
あらすじは最小限の説明。短い方がいい
次は選んだ本のあらすじをまとめましょう。 あらすじとは、その本のストーリーをまとめたものです。読書感想文の読み手は必ずしも、その本の内容を知っているわけではありません。そのため、「私が読んだ本は、こういう内容です」というのを説明する必要があるのです。
読書感想文はあくまでもあなたが感じた感想を書くもの、あらすじは最小限にとどめるべきです。400字の原稿用紙であれば、半分くらいに留めておくのがいいでしょう。
まとめる際は5W1Hを意識しながら、「どういう話だったのか?」をお子さんに聞いてみてください。
「5W1H」
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どうやって、どのように)
「いつの話なの?」「だれの話なの?」という質問の答えをまとめれば、それがあらすじになります。 5W1Hは必ずいれなければいけない要素ではありません。その本の内容を説明するための最低限の内容だけ抽出しましょう。
感想文は質問から導ける。インタビュー形式で書き上げろ!
一番の核となる感想。ここはお子さんの率直な気持ちで書くことが大切です。 とは言え、ここが「何を書いたらいいか分からない」と嘆くポイントでもあります。
親御さんは以下のような質問から、お子さんの感想を導き出してあげてください。その回答が感想文を創っていくのです。
- 好きな(共感できる)登場人物とその理由(なぜ?どうして?)
- 嫌いな(共感できない)登場人物とその理由(なぜ?どうして?)
- 好きな(印象に残った)場面とその理由(なぜ?どうして?)
- 好きな言葉・セリフとその理由(なぜ?どうして?)
- 知って感心したこととその理由(なぜ?どうして?)
- 本を読んで発見したことは?それを知ってどう思った?
これらをお子さんにインタビューするかのように聞いてみてください。 「その本を読んで、好きな登場人物はいた?」などと。その答えにも必ず理由があります。「なんとなく」と返ってくる場合もありますが、それはまだ自分の感情を言語化できていない証拠です。「○○かな?それとも△△かな?」と複数の例を出しながら、一緒にお子さんの感情を形にしていきましょう。
また「共感したことは?」と聞いても、共感ということがはっきり分かっていないケースもあります。答えに詰まるようであれば、共感という言い方を「心にジーンときた」「同じ立場なら、自分もそうした」と具体的な言い方に変えてあげるといいでしょう。
出てきた答えは具体的なほうがいいのです。「それはなぜ?」「具体的に言うと?」「どうして?」などと質問をしながら、答えを深くしていってあげましょう。
ただ、ここでも肯定的な相槌すること、決して親御さんの考え方を押し付けないようにすることの注意が必要です。あくまでもお子さんが感じたことを書くのが、感想文なのですから。
締めくくりは、次につながることを書く!
感想文の最後はまとめで締めくくります。 まとめの例もご紹介しておきます。
- 自分がその本と読む前と呼んだ後で変わったこと
「○○に興味がわいた」「△△の知識がついた」などです。 - 読後の人生に行動として影響をもたらしたこと
「この本を読んで、今後○○しようと思う」「△△するようになった」など。 - おすすめのポイント
「○○で悩む人に薦めたい」「△△に興味をもっている人に薦めたい」など。
これらも、どれかひとつを選ぶ必要はありません。組み合わせながら、まとめていきましょう。 こういったまとめは、アマゾンのようなオンラインショップのレビューを見ると参考になります。真似をしてはいけませんが、その本を読んだ人の感想が書かれているので、一度読んでみるといいでしょう。 また、このレビューも「他の人は○○だと思っているようだが、私は△△と思う」などをまとめに組み込むのも一つの手法ですね。
まとめ部分も他と同じ様に「どう思った?」「どう感じた?」と徐々に質問をしていけば、良いでしょう。 感想文はなにも難しいことではありません。 お子さんが感じたことを文字に乗せるだけです。それを親御さんの質問によって導き出してあげましょう。
一度書けば、次回以降は自分の力で書けるようになります。読書感想文の“書き方”が分からなかっただけなのですから。
また、もっと基礎的な文章の書き方から知りたいという方は以下の記事をお読みください。
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執筆
石井 知哉(いしい ともや)