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「“人間と性”教育研究協議会」が語る子どもに伝えたい性教育とは? 

「“人間と性”教育研究協議会」が語る子どもに伝えたい性教育とは? 
子どもが成長していく過程で必ず通る思春期ですが、からだや性については親子間でも話題にすることが難しい側面があります。今回、性教育について民間の教育団体である“人間と性”教育研究協議会(性教協)の中野久恵さんにお話を伺いました。

一般社団法人「"人間と性"教育研究協議会」とは?

—まずは、貴団体の活動について教えてください。

“人間と性”教育研究協議会(性教協)は、1982年に設立した性と性教育について研究・実践している団体です。
2012年に法人組織となり、一般社団法人"人間と性"教育研究協議会になりました。
私たちが考える性教育は、性への偏見を払拭し、ヒューマン・セクシュアリティとしての豊かな性を人間の一生の中に積極的に位置づけて、実りある人間関係を築いていく力を培うことです。

そのためのおもな活動として、毎年、全国夏期セミナーを3日間の日程で開催しています。2016年の夏には山形市内で第35回大会を開催します。また、「理論と実践講座」や「性の基礎講座」などの講座を開催して学習や研修の機会を持っています。
年間10回の会報『人間と性』を発行しています。また、性教協の企画・編集による『季刊セクシュアリティ』誌(エイデル研究所)を年間5回、発行しています。

—会員の構成はどのような方がお集まりですか。

会員にはさまざまな職種の方が入会しています。教員の他にカウンセラー、医師、看護師、保健師、助産師、保育士や福祉施設の職員、さらに社会教育関係者の方や放送・報道関係の方、学生、一般市民など広い層にまたがっています。全国には約40のサークルがあり、各県域で本部とつながりあいながら活動をしています。

—教員だけでなく、その他の関係の方も集まって団体を構成しているというのは珍しいことなのですか。

さまざまな分野の方が会員であることは、人間の性が生きていくことや人と人との関係性で表現されるということを示していると思います。私たちが目指している性教育は、学校教育にとどまるものではありません。人間にとっての性(セクシュアリティ)が豊かで対等な関係であることを求めて活動しています。

—私たちの会社のホームページは、受験する中学生やその保護者の方に見ていただくことが多いのですが、中学生やその保護者の方にはどのようなことをお伝えすればよいですか。

からだや性を科学的に学ぶことを通して、からだや性への思いこみや偏見を取り除いていくことが大切だと思います。
また、人間にとっての性は、一人ひとりが多様であるということを伝えたいです。
中学生の時期は、からだの成長は著しいものがあります。1年間で身長が10センチも伸びる人もいます。また、男子は精通(初めての射精)、女子は初経(初めての月経)を迎えます。精通や初経を迎える時期は、個人差が大きいことを理解することが大切です。射精や月経を学ぶことは、からだを肯定的に受け止めるうえでとても大切な要素です。男子は女子の月経を、女子は男子の射精を学ぶことは、将来の良い関係性づくりのためには大切なことなのです。
この時期は、からだだけでなく心もおとなへと変化してきます。心の変化も個人差があります。多くの人が「自分ってなんだろう?」と考えはじめます。
自分はどんな人間なのか、どんな人間になっていきたいのか、自分はどんな性格なのだろう、などと自分の内面を見つめる時期です。イライラしたり、悩んだり、自信を失ったり、親に反抗したりします。からだと心の成長が同じように成長するのではなく、アンバランスな時期なのです。
そのようなことを知っておくことは、親にとっては子どもを理解するうえでヒントになるかもしれません。

—そのような学習は、授業として学ぶ機会があるのですか。

思春期のからだの変化などのからだの発育については保健体育の授業で習うことになっています。もっと幅広い性教育の内容については、他の教科でも教科を横断的にとらえて総合科目で扱う学校もあります。また、外部講師に依頼して講座として取り組む学校もあります。
しかし、性と生に関する学習は、その普及・徹底に関してはまだまだという状況です。

—性教育の内容についてはどのようなテーマがあるのですか?
さきほどの月経・射精など、からだの領域のテーマがあります。また、いのちのなりたちや生命誕生などのいのちについて学んでいくテーマがあります。また、人と人との関係性について学ぶ領域のテーマでは、「性ってなんだろう?」ということを導入として生徒と一緒に性の多様性について考える授業もあります。からだを守ることをテーマに性被害や性加害、性的いじめなどについても扱いたいテーマです。その他、性感染症やデートDV、家族、HIV・エイズなど、性教育で扱う内容は多岐にわたっています。

—そうですか。中学生の保護者に対してのメッセージはありますか。

この時期の子どもは、からだの成長と心の成長がアンバランスだということです。自我が芽生えはじめ、自分の内面を見つめるようになります。自分の行動にも歯がゆさを覚えつつも、親に反抗や反発をします。子どもの話、言い分をじっくりと聞く姿勢を持ちたいものです。

—そうですね。反抗や反発のイライラとする気持ちを受け止めていくことが大切なのですね。
お話を伺って性教育のテーマは幅広く、特に思春期の子どもたちの成長や発達に欠かせない学習だと感じました。「人間と性」という団体の名称の意味が少しわかったような気がします。

私たちのホームページでは、イベントの紹介や「性の相談」を掲載しています。そちらをご覧いただければと思います。
性教育についてもっと知りたい方は、本会の企画編集による人間と性をめぐる総合情報誌の『季刊セクシュアリティ』誌(エイデル研究所)をぜひ参考にしてください。2016年10月現在、78号まででています。

また、会の設立30周年を記念して発行した『あっ!そうなんだ!性と生』(エイデル研究所)は、幼児・小学生おとなの方に届けたい本です。

『あっ!そうなんだ!性と生』
『あっ!そうなんだ!性と生』
『季刊セクシュアリティ』誌
『季刊セクシュアリティ』誌

—本日は、ありがとうございました。

中野久恵プロフィール:代表幹事 元小学校養護教諭
一般社団法人“人間と性”教育研究協議会
ホームページ
エイデル研究所  電話03-3234-4641 FAX 03-3234-4644