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広尾高校の都立人気No.1の秘密

広尾高校の都立人気No.1の秘密
都立高校で人気No.1となった広尾高校。たくさんの工夫が隠されている同校の秘密を、田神校長にお伺いしました。1番魅力的なのは生徒!という胸をはる校長が語る広尾高校とは!?

※本記事は、2014年12月時点での取材内容を基にしています

都立高校で人気No.1「広尾高等学校」

200校近くある都立高校の内、近年その人気をぐいぐい伸ばし2014年度に人気No.1になった広尾高校。全ての中学校が中学3年生に聞き取り調査し集計した「都立高校志望予定調査」の結果で、人気のバロメーターである倍率が男女とも一番高い結果となったのです。

その人気は受験生とその親御さん向けに開催している施設見学会や学校説明会にも表れており、2014年度は8月の施設見学会に1829人もの親子が広尾高校に列を作りました。この3年間で20倍近くまで増えた参加者。一体、その人気の秘密はどこにあるのか、広尾高校の田神校長にお話を伺ってきました。

「校長先生が考える広尾高校のNo.1とは?」という質問したところ、校長は「生徒です」と即答。とにかく広尾高校は生徒が良いのだと言います。

生徒が変われば、学校も変わる

生徒の評判はどこにいっても上々だと校長。学校説明会当日も生徒たちが受付業務を手伝ったり、会場設営をしたりと受験生や保護者の前に出ることは多いと言います。そういった姿を見て、一層広尾高校生になりたいと思うのは、その生徒の姿が素敵だからです。

また通常の授業の中でも、数年前からの変化を感じるといいます。数年前までは整列さえも時間がかかってしまうなどの手がかかる生徒が多かったそうですが、今はそんなことは全然ありません。体育の授業の例だと、始業チャイムがなるころには、既に準備運動を終えて整列しています。「それで時間に余裕ができて、本来2試合のところを、3試合にできたりして生徒も満足気です」と校長。

授業風景
授業風景

また広尾高校にはレジェンドとして語り継がれる男子生徒がいます。彼は入学時から赤点続きで学校が親を呼び出すほどでした。しかし、あるGMARCHの大学と出会ってから1日10時間の勉強を徹底し偏差値を39から63まであげて見事に志望大学に合格したのです。校長は「彼の単語帳は、手あかでボロボロでしたよ」と感心していました。その男子生徒は今では、チューターとして在校生に勉強を教えるなど、広尾高校の大きな力となっているそうです。こういったエピソードも生徒に伝えることで、「自分も!」と奮起するきっかけになっているのではないでしょうか。

生徒を変えた3つの指導方針

校長が広尾高校に赴任してきたのは、2011年度。当時から「生活指導・進学指導・部活動指導」の3つには特に力をいれてきたといいます。

  • 生活指導
    生活指導は、服装・身だしなみ指導、挨拶運動の徹底を図っています。中でも挨拶は朝、校長自ら教員と共に校門の前で生徒と挨拶を交わすなどして習慣化しています。「4年前の卒業生が教育実習で訪れた際、その変化にびっくりしていますよ。生活指導はほぼ完成形といえますね」と校長は胸を張ります。

    またこういった話から、生活指導が厳しくガチガチにルールに固められているというイメージを持つ方も少なくないそう。しかし実態はそうではないと校長は否定します。例えば制服のスタイルについても、今の生徒に合わせて柔軟に考えていきます。通学時のブレザーの着用ルールだったり、スカートの長さだったりと、生徒を押さえつけるのではなく、一緒に考えていくことで、生徒に窮屈さを感じさせていません。

  • 進学指導
    進学指導について、広尾高校では2013年度より指定枠推薦ではなく、一般受験で大学に合格することを勧めています。そして、そのための進路指導メニューを幅広く用意しているといいます。

    中でも「大学入試研究部(勉強部)」の存在は欠かせません。2012年度より発足した大学入試研究部、目玉は7月末に行われる勉強合宿。参加者は増え続けており、2014年度は発足当時の3倍もの107名が参加しました。他の部活動と兼部していても、この合宿だけ参加する生徒は多いといいます。「赴任当日から、部活動が得意な学校だと感じました。だから大学受験も部活動にしてしまおうと考えたのです」と校長。

    合宿の様子
    勉強合宿の様子

    また大学入試研究部発足と同時期に東京都教育委員会より理数フロンティア校の指定も受けています。これにより広尾高校では、東京理科大学と中央大学理工学部の大学生・大学院生がチューターとなり、生徒たちの学習の手助けをしてくれています。定期テスト前になるとチューターを3~4名配置した自習室が満員になり、新たに自習室を用意するほどです。

    さらに毎年実施して今季(2014年度)で4年目となる「学長講演会」も生徒のやる気を引き出すきっかけの一つ。有名大学の学長を招き講演会を開き、これからの日本のことや、世界の動きについて話をしてもらいます。毎回、講演会後に懇談会を設けており、学長を囲んで質問できると、生徒からも評判です。実際に懇談会の中で学長から「そういう道に進みたいのであれば、ウチに来なさい。」と肩を叩かれた生徒が、一気に奮起して成績をあげ、現役でGMARCHに合格したこともあるそうです。

    このようなたくさんの仕掛けが、今の広尾高校の進学実績を支えているといえるでしょう。

  • 部活動指導
    部活加入率ほぼ100%を誇る広尾高校。校長は「部活動で人は磨かれる」とし、とにかく部活動を応援しています。これが決して理想論ではないことは、校舎の至るところで確認できます。
    ダンス部の発表
    ダンス部の発表

    例えばそれは、校門から校舎に入ってすぐの廊下にある、壁いっぱいの部活動写真。校長自らが試合会場や公演会場に出向き写真を撮り、貼っているそう。「なるべく多くの生徒が写るよう、写真の選別が大変ですね。貼ってある5倍は撮影していますよ」と話していただきました。

    掲示物の写真1
    掲示物の写真1
    掲示物の写真2
    掲示物の写真2

    「貼り出して欲しくない」という生徒がいれば、すぐ外すようにしています。しかしそれは1件もなく、反対に「俺の3ポイントシュートも撮ってよ!」などとのオファーも多く、土日も大忙しだそう。これにより、今まで知らなかった他の部活動の活躍を知ることができます。「頑張っている人をみんなで応援しようという気運は高まりました」と校長。 野球部の試合の日などは授業終了後、走って会場に駆け込む姿も大勢見られるそうです。

広尾高校の魅力と今後

校長のアイディアが随所にちりばめられた広尾高校。壁には部活動の写真以外にも多くの手作り掲示物が貼ってあります。その全て、ひとつひとつが生徒のため、学校のために校長が手作りで作ったもの。

最後の「広尾高校の魅力は?」との質問の答えも当然「生徒!」との答え。
今後は、生徒が第一希望校へ一般受験で現役合格できたという実績を伸ばすことが目標です。また近い将来、複数の国の高校と姉妹校提携を結び、国際人の育成にも力を入れてきたいそう。

広尾高校の人気は、広尾の生徒を愛する校長を中心に日々充実した生活を送る広尾高校の生徒がつくっているようです。それらの雰囲気で、「ここに来れば、最高の学校の生活が送れる」と感じさせてくれる学校です。

編集後記

校長先生の愛を感じる取材でした。生徒への想い、保護者への想い、そして学校・教員への想い。田神校長なくして今の広尾高校はないのではないでしょうか?有言実行、思いついたら即実行、とにかく実行。その先鋭的な考え方でこれからも、学校の進化の根底を支えていってほしいと思います。

この記事で紹介した学校はココ!

東京都立広尾高等学校

東京都立広尾高等学校

恵比寿駅から徒歩10分ほどのアクセスの良い都立高校。限られた校舎の中で、生徒たちは最大限に生活しています。渋谷区の行事からもよくオファーが来るなど、地域住民とも良好な関係が築けています。