島根中央高校のまちキャン成果発表
※本記事は、2014年03月時点での取材内容を基にしています
生徒が制作したムービーで幕開け!1年間の総まとめ
2014年2月14日 午後1時30分、島根県川本町にある施設「悠邑ふるさと会館」の一室で高校生の働く様子がスクリーンに流れています。
このムービーを制作したのは、島根県立島根中央高等学校の生徒たち。地域と一体になって子どもを育てる教育プロジェクト「まちキャン」の活動内で制作されました。担当したのは、川本町役場の「まちづくり推進課」で職業体験をした生徒たち。他の事業所で働く同級生に行ったインタビューを20分ほどの動画にまとめました。
取材に応じてもらった同じく川本町役場に勤める石田さんは、「係が違うので、一緒に仕事する機会はありませんでしたが、見かけると楽しそうでしたよ」と振り返ります。
ムービーが終わると、あちこちで写真やイラストで彩られた模造紙の前に人だかりができていました。生徒たちが、職業体験でお世話になった事業所の方たちや後輩に、自身の成果を発表しているのです。
「発表は、なごやかな雰囲気でした。来ていただいた方も1年間を振り返りながら、思い出話に華を咲かせていましたよ」と石田さんはにっこり。
職業体験の最終日から2週間ぶりの再会。事業所の方々も、この日を楽しみにしていたそうです。
本音を暴露。生徒を受け入れた事業所に勤める方々の声
1年を振り返って、事業所の方から見て生徒たちはどうでしたか?と質問すると、障害福祉施設で自動車部品の切り離し作業をする従業員の方は、「生徒が来る日が楽しみでした。生徒たちの話題で、私たちの話す頻度も増えました」と答えてくれたそう。
生徒が来る日は当然のこと、生徒が来ない日も従業員同士の交流が増えたといいます。「全体の雰囲気が良くなったと感じます。来年もぜひ来てほしい」との感想も。
他にも、「町で高校生を見かけると、『(体験に来ている)あの子かな?』と気になる」や「今まで関係ないと思っていたけど、高校生の言動に興味がでた」など嬉しい声。中には生徒が来る日は仕事が捗ると、生徒の働きぶりを頼りにしている事業所の方もいたそうです。
一方で、「もっと計画的に体験させてあげたかった。場当たり的な対応で申し訳なかった」という声もあり、「来年に向けて、私たちも準備をしていかなければいけません」と石田さん。
働くとは!?今後の進路に役立てる経験を積む
「仕事って大変ですね」
生徒たちは1年をかけて、働くとはどういうことか少し分かったといいます。
レストランのホールで接客業を体験した生徒は、「笑顔やハキハキと話すことを、意識してすることは大変!レジ打ちも専門用語も難しかった」と振り返ります。
また、将来の夢でもある事務仕事を体験した生徒は、「ますます興味がわきました!」との声。コピーの取り方やお茶の入れ方など実際に体験し分かったことは、今後の進路決定に役立てることができます。
どの生徒も、「事業所の方には優しく教えてもらった!」と満足げです。
手探りの結果、見えてきた成果と課題。来年に向けて
まちづくり推進課として、生徒と地域の人々と一緒に過ごしてきた石田さん。
この1年はどうでしたか?との質問に、「手探りの中始めましたが、生徒が地域の人と交流し、地域の人と一緒に教育できて良かったと思います」とのこと。
「もう来年度に向けて動き出しています。事業所の方にご協力いただいたチェック項目をもとに来年度の活動計画を建てています。来年はもっと民間色の強い受け入れ先を増やしたいですね」と意気込みます。
2014年度も実施される「まちキャン」。まだまだ発展途上のこの取り組みの今後にも期待をしています!
この記事で紹介した学校はココ!
島根中央高等学校
島根県邑智郡川本町にある島根県立の高等学校。学校に寮を併設しており、県外募集を積極的に行っている。生徒の希望進路により、2年生時に4つのコース選択があり、様々な学習ニーズに対応する。中でも「現代ビジネスコース」と「地域創造コース」の2コースは、キャリア教育の一環で地域の方々と触れ合う取り組みが多い。
編集後記
町をキャンパスに見立てた「まちキャン」の総まとめ。写真で見て頂ければわかる様に、たくさんの来場者に来ていただいたようです。これだけで「まちキャン」がどれだけ地域に影響を与えているかが分かりますね。来年以降の活動にも期待したいです。