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合格を勝ち取るメンタルのつくり方



メリット・デメリットから比較。勉強方法の5つの選択肢。

メリット・デメリットから比較。勉強方法の5つの選択肢。
勉強をするのはお子さんですが、そのためのサポートとして親御さんにできることは、何があるでしょう?親御さんにとって非常に気になる、「学習指導の受け方」について、ご紹介します。選択肢は大きく5つ。どれを選ぶかは、親子で相談しながら決めるといいでしょう。
石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)

受験・テスト対策の5つの選択肢

「受験の対策をどのようにするか?」「学校のテスト勉強をどうするか?」と考えたとき,一般的に考えられるのは次の5つです。

  • .塾に通わせる
  • .家庭教師をつける
  • .通信添削に取り組む
  • .親が教える
  • .子どもが独学する

大きく分ければ、

  • プロの指導を受けるA・B・C
  • 家庭内で完結させるD・E

という違いになります。

「どの子にとってもベストな方法」というのはありません。お子さんの学習の状態や目標とする高校によって、おのずと異なってくるからです。したがって、まずはそれぞれの対策方法の特徴を知る必要があります。

選択肢のメリット・デメリット

では、
.塾に通わせる
.家庭教師をつける
.通信添削に取り組む
.親が教える
.子どもが独学する
の5つの対策には、どのような特徴があるのでしょうか。
それぞれについて見ていきましょう。

【A. 塾に通わせる】

現在は、最も一般的な手段ですね。多くの人がまず思いつくのではないでしょうか。
ひとえに塾と言っても、その目的によって様々です。
大きく分けると、
進学塾:入試対策に重点を置いて授業を行う
補習塾:内申点対策に重点を置いて授業を行う
の2種類です。

もっとも、このあたりも多様化しているところで、両方の目的をにらんで、「普段は入試対策に重点を置きつつ、定期テスト前には対策を行う」という塾もあります。逆に、「まずは内申点対策に比重を置きながら、徐々に入試対策に比重を移していく」という塾もあります。

また、指導形態も、
集団指導塾:1人の先生が複数の生徒を受け持ち、同じ内容の授業を行う
個別指導塾:1人の先生が2〜3名くらいの生徒を受け持ち、生徒毎に異なる内容の授業を行う
自立学習指導塾:コンピューターやタブレットを用いて、動画やアプリを活用して生徒が自主的に学習を進め、先生は質問に対応したり進捗を管理したりする
と様々です。

これから受験生になるお子さんをお持ちの親御さんにとっては、「自分たちが通っていた塾とはずいぶん違うのね」という印象を持たれるかもしれません。それぞれに長所と短所があるので、比較検討した上で、お子さんに合った塾を選ぶ必要があります。

【B. 家庭教師をつける】

昔は塾と並んで一般的でしたが、近年は塾の多様化に伴い、以前よりはメジャーな方法ではなくなりました。それでも、「近隣に塾がない」「通塾時間をかけたくない」という場合には、有効な手段です。

家庭教師派遣センターに依頼して、お子さんを交えて面談を経て、合った先生を紹介してもらうのが主流ですが、知り合いのつてというのも珍しくはありません。

<メリット>

  • 子どもに合った指導をしてくれる。
  • マンツーマンの指導のため、疑問や不安を解消しやすい。
  • 先生が自宅まで来てくれるため、時間を有効に活用できる。

<デメリット>

  • 先生が自宅に来るので、何かと気を遣う。
  • 先生との相性が合わない場合に、伸びにくい。
  • 教材や受験情報が手に入りにくいことがある。

【C. 通信添削に取り組む】

自宅にテキストが送られてきて、それを解いて期限内に返送すると、添削されたものが郵送されてきます。レベルに合わせて様々なコースが用意されています。

<メリット>

  • 比較的安価にプロの指導を受けられる。
  • 定期的に良質の問題に取り組めるため、計画的な問題演習が可能となる。

<デメリット>

  • 提出期限に間に合わないと、添削をしてもらえないため、ただの問題集と同じになってしまう。
  • わからない部分があっても、その場で質問できない。
  • 子どもが自己管理できないと、ただただ溜まっていく一方で、お金と場所の無駄になる。

【D. 親が教える】

高校受験を経験している親御さんであれば、受験勉強についてまったくの“素人”ということはないと思います。ですから、決しては不可能ではありません。それでも、親御さんが経験した頃とは、ずいぶん変わっていますから、一筋縄にはいきません。

<メリット>

  • 我が子の性格をわかっているため、それに合った指導ができる。
  • 費用がかからない。

<デメリット>

  • 教える時間を定期的に確保するのが難しい。
  • 専門の受験指導者ではないため、授業のスキルや受験情報の精度を高めにくい。
  • 感情のもつれが出やすく、親子関係にヒビが入りやすい。

【E. 子どもが独学する】

お子さんが自分で計画を立て、自分で勉強を進めていくという形です。学力とは、究極的には「自学自習できる力」ですから、理想を言えば、独学でこれが最も望ましい形です。うまくいけば、最も成長できる方法ですが、失敗したときのマイナスも大きい、いわば“諸刃の剣”です。

<メリット>

  • 自分のペースで勉強できる。
  • 子どもの自主性や計画性が養われる。
  • 費用がかからない。

<デメリット>

  • 一人で勉強しているため、わからないところを質問できない。
  • すべてが子どもの自己管理に委ねられるため、下手をすると「何もしない」ことになる。


成績があがる魔法はない。道具で戦え!

もちろん「プロの指導を受ける」方が成果は出やすいのでしょうが、当然費用がかかります。費用との兼ね合いは当然、考慮すべきでしょう。とはいえ、プロの指導を受ける以上は、できるだけ質の良い指導を受けたいもの。

そのためには、実際に親子で、“目で見て耳で聴いて”、情報収集をすることです。知り合いからの口コミやインターネット上の評判も、もちろん参考になりますし、すべきだと思います。

しかし、それだけで判断するのは危険です。極端な話、同じ先生から教わっても、お子さん次第で伸びるか伸びないはずいぶんと変わってきます。Aさんにとってベストな指導法が、Bくんにとってはワーストだった。そんなことだってあり得るのです。

また、全国チェーンの塾や家庭教師センターであっても、教室や先生によって、受けられる指導の質はずいぶんと変わってきます。飲食店であれば、同じチェーンならどの店舗でも同じ味を楽しめます。しかし、教育サービスは、ハンバーガーや牛丼とは違い、「誰が作っても同じ味」とはなりません。

授業を受ける子どもも、授業をする先生も、人間なのですから。(もちろん、どんなタイプの子どもでもきちんと伸ばせるのが“良い指導者”なのは言うまでもありません。)

大切なのは、お子さんの性格や学力、学習習慣、志望校のレベルなどを考慮して、「その学習指導を受けて伸びるかどうか?」を、親子双方の目で見定めることです。親御さんだけの視点でもなく、お子さんだけの視点だけでもなく、親子でよくコミュニケーションを取りながら、最適な方法を選んで欲しいと思います。もっとも、そこに時間を欠け過ぎて肝心の勉強の時間がなくなった、というのでは泣くに泣けませんが・・・。

つまり、「どうしたら我が子が一番成長できるのか?」が最優先で、他人の評価は二の次三の次です。その視点を持たないと、時間とお金とを浪費するだけになります。何より、塾や家庭教師を頻繁に変えるのでは、お子さんが落ち着いて勉強できず、気の毒です。

塾に行きさえすれば受かる。
家庭教師をつけさえすれば合格できる。
通信添削をやりさえすれば落ちない。
・・・残念ながら、そんなうまい話はありません。

塾も家庭教師も通信添削も、“万能の魔法”などではなく、“道具”に過ぎません。

その“道具”をどう使うかで「成績が上がるか下がるか」「受かるか落ちるか」も変わるのです。ただし、一度選んで決めたからには、まずは指導されたことを信頼して「言われた通りにやってみよう」という姿勢が必要ですし、それが最も効率的に伸びる方法です。

石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)