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トキワ松学園中高のプロジェクトアドベンチャー

2014.01.20

日本で初めてプロジェクトアドベンチャー(以下、PA)を学校教育に取り入れたトキワ松学園中学校・高等学校(以下、トキワ松学園)。アメリカの事例を頼りに当時手探りで導入を決めたこの取り組みは、受験勉強のやり方にも繋がっているといいます。さまざまな狙いが交差し、生徒からの人気も高いこの取り組みを広報部長の中里先生に伺いました。冒険教育とよばれるPA、果たしてその効果はいかほどに??
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一人ではできない、だけどみんなとなら!という協同意識を養う冒険教育

トキワ松学園は、1997年に日本で初めてPAを学校教育に取り入れました。 コミュニケーション能力の低下が社会的にも問題とされ始めていたことが理由の一つです。 「アメリカの事例はありますが、日本に合うものと合わないものがあり、見極めながらの導入だったと聞いています」と中里先生。

PAとは、様々なアクティビティを通し人間形成する取り組みのこと。トキワ松学園では、この取り組みを「冒険教育」と位置づけています。「できないと思っていることに挑戦する」という冒険の基本原則のもと、生徒が成功体験を積み重ねるのが狙いです。 また、生徒たちは協力し合いながら成功を導く姿勢から、「一人ではできなくても、みんなとならできる」という協同意識を養っています。

スポーツが苦手な子でも冒険は楽しい!難易度は、高い方が人気

PAは、体育の授業の一環で不定期に行われます。 PAを行うにあたり、生徒たちは次の2つのルールを守ります。

  1. チャレンジ バイ チョイス(参加するかやめるかは本人の意志)
  2. 絶対に他人を責めない

ルールを破る生徒はおらず、中里先生は「決められたルールの中で、楽しんでいる生徒ばかりです」と嬉しそう。 400種類以上あるアクティビティの中で特に人気があるのは、ホエールウォッチングとスパイダーウェブと呼ばれるもの。

ホエールウォッチングは、広いシーソーのようなバランスボードを一度も地面に接着しないようにクラス全員が乗りこむアクティビティです。 失敗を繰り返しながらも、ほとんどのクラスが最後には成功するそうです。

最初に乗り込んだ生徒はバランスをとりながら、次の生徒を待ちます。 周りで順番を待つ生徒たちからは、様々なアドバイス。 失敗してもカラリとした笑い声が沸き上がり、「次はこうしてみよう」という意見が飛び交います。 座ってみたり、寝転んでみたり、笑い声とアイディアは尽きません。

ホエールウォッチング
ホエールウォッチング

スパイダーウェブは、ランダムに張られた糸でつくられた網目の間を一人ずつ糸に触れないようにくぐり抜けていくものです。 「一度くぐった網目は二度と通れない」や「2度目まではOK」など事前にルールを決めてから行います。

腰より上に位置する網目もあり、一人の力だけでくぐり抜けることはできません。 そのため最初の数名は、簡単な編目をくぐり”向こう側”から助け舟を出すのです。 体を支えたり指示を出したり、時には土台になり攻略を目指します。

スパイダーウェブ
スパイダーウェブ

通常の体育の授業では、これらのような命綱を必要としないローエレメントと呼ばれるアクティビティを行います。

ハイエレメントと呼ばれる命綱を必要とするアクティビティは、放課後に学年別で行われる「ランクアップ講座」の一環で半年に1回ほど不定期に行われます。 漢字検定や英語検定が同時刻に行われる中、1学年約100名の生徒の内10名ほどが参加します。

ハイエレメント-壁登り
ハイエレメントのアクティビティ

「生徒のタイプに偏りはなく、『活発でスポーツが得意な子』や『いつもは本を読んでいるスポーツをするイメージがない子』も参加します」と中里先生。 「体育館にある高い壁に、登ってみたい」という単純な好奇心が彼女たちの背中を押しているそう。

本音でぶつかることで相互理解を図る。日常的にそういう場を作ることの意味とは?

PAで重視しているのはアクティビティの後の取り組み。 「振り返り」として生徒のみんなが意見をぶつけ合います。

成功や失敗の理由はどこにあったのか、クラス全体が協力できていたか、自分自身の振る舞いはどうだったか。 生徒たちは、この振り返りによって多くのことに気づきます。

振り返りの時間
振り返りの時間

中里先生は「失敗にも、箸にも棒にも掛からない失敗と惜しい失敗がある。最後に成功できなくても、『ここまで頑張れたのだ』という気づきが大事なのです」といいます。

他にも、生徒同士が本音でぶつかり合える場を作る目的があります。 本音でぶつかることで、相互理解が進み相手と自分との違いを認めることができるようになるそう。 「人とのぶつかり合いは、心の成長につながります。PAの取り組みがないと、このような機会は少ないと思います」といいます。

生徒全員が意見を出し合うものですか?と質問すると、「声の大小はないですね」と誇らしげです。

受験は孤独なものにしない。団体戦で挑み、勝ち取る合格

PAを通し生徒たちの絆を強くするトキワ松学園。 その効果は受験にも結び付いていきます。

たとえば、(2013年度現在の)高校2年生の朝学習。 毎朝8:00から20分間、英語のプリント学習を自発的に行ってきました。 「一人ではできなくても、みんなとならできる」というPAで培った感覚が支えてきたといいます。 この時間に先生はいません。先生はプリントを用意しておくだけです。

また、2013年度より開始した授業の中には生徒が先生役を務める「教え合い」という授業があります。 PAで培われたコミュニケーション力はこの授業にも活かされます。 「生徒たちは”教える””教わる”という感覚ではなく、”一緒に確認していく”という感覚みたいです」と中里先生。

教え合いの様子
生徒同士が教え合っています

ライバルではなく仲間。トキワ松学園の生徒にとって学習は孤独な個人戦ではなく、みんなで立ち向かう団体戦なのです。

日本初のPAの申し子たる「冒険者」たち。彼女たちをつなぐ絆は固く確かなものです。

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編集後記

とにかく楽しそう!取材中、本取り組みを行う授業の映像を見させて頂きましたが、生徒たちはずっと笑顔!クラスのみんなで協力して困難に立ち向かう、というのが学校の雰囲気からも感じ取れたので、まさにこの学校の文化的な背景があってこその取り組みなんだな、と感じました。

今回取材した学校について

トキワ松学園中学校高等学校

東京都目黒区にある女子の中高一貫校で、高校からの募集も行う併設校。生徒同士のつながりを大事する校風で、学園全体の交流が盛んである。「グローバルな視野をもち、クリエイティブに問題解決をできる探求女子を育てる」を教育ビジョンに掲げる。

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