学校の取り組みも知り、選択肢を増やそう

School Post

School Post > , > おおた としまさ氏と受験について徹底議論!

おおた としまさ氏と受験について徹底議論!

2014.01.16

2児の父親でもあり、教育・育児について多くの著書を持ち、新聞や雑誌にコメント掲載も行う 「おおた としまさ」さんと、株式会社QLEAが経営する個別指導塾を統率する「石井 知哉」。少年時代を中高一貫の男子校で過ごし「教育」を舞台に働くという多くの共通点を持つ二人。おおたさん著の「男子校という選択」に感銘を受けた石井 知哉からの「中学・高校の受験について話がしたい」という熱烈オファーに快く応えていただき、本対談が実現しました。男子校出身の独特のノリで盛り上がり、あっという間に感じられるアツい対談となりました。
役に立ったらシェアしてね
  • Facebookシェア
  • LINEで送る

中学受験は変わらない。変わったのは??

—お二人が受験された頃と2014年現在の中学受験には違いを感じますか?

石井:

現場目線だと、昔に比べて中学受験のハードルが下がってきていると感じます。昔はクラスの中で、(先生に)急に当てられてもすぐに正解できて、テストもいつも100点満点という子が中学受験をしていました。

今は親御さん主導なのかもしれないですが、「公立に行ってゆっくりやったほうがいいんじゃないの」って子も中学受験をします。だめならだめでいいんだけども、「その経験をさせたい」と考える親御さんが増えている印象がありますね。

おおた:

なるほど、それはそうかもしれないですね。

石井:

悲しいのは(中学受験をする)全体の学力層が下がってきているので中学受験を目指す子なのに塾に遅れてきたりして、「どうして遅れたの?」と聞くと「学校の補習で」と答えるんです(笑)。

おおた:

うちの子です(笑)。今小学5年生ですが、中学受験に向けては全く自覚がないですよ。彼には彼のタイミングがあるので、無理に中学受験をさせるつもりはありませんが。

とは言っても、僕は「中学受験をしないとしても、中学受験のための勉強はしておくべきだ」と思っています。「今の小学校の計算ドリルだけやっていればいいか」といえば、そうではないだろうと思っています。

たとえば公約数とか習って、それをどういうシーンで使うか。問題のなかに公約数とは一言も書いていない場合もありますが、これは公約数の問題だと理解しなければいけない。これは抽象概念の中から相似形を見つける、きわめて高度な頭の使い方をしなければいけません。

こういう頭の使い方は別解がたくさんある小学生の算数のうちにしておくべきです。

石井:

確かに今の中学生を見ていても、抽象化思考が弱いイメージがありますね。演繹法(えんえきほう)が弱いというか、ルールを教えても当てはめられない。

おおた:

本当ですか。やっぱり頭の使い方の訓練になるってところでも、中学受験をする・しないに関わらず、同等レベルの勉強はやっておけってことですね。

石井:

頭の中に残っていて、噴き出てくる瞬間がありますからね。

おおた:

それをやって中高一貫校に入ることによって、中高の価値観がガラッと変わる時期を目先の点や内申書をあまり気にすることなく過ごすことができる。しかも、曲がりなりにも抽象思考とか、頭の使い方を訓練して思春期を迎えることによって、「あらゆる事象に対して自分を照らし合わせるときの演算能力」というCPUは上がっていくんじゃないかな。

—つまり、中学受験自体は今も昔も一緒で、生徒がちょっとずつ変化してきているということですかね?

おおた:

そうですよね、質問それでしたよね(笑)。

石井:

中学受験の根本自体は変わってないんじゃないかな。求めているものとか問題とかは一緒ですよね。

おおた:

学校が入試を通じてみようとしているものは基本的に変わっていません。最近、「公立中高一貫校がやっている適性テストが素晴らしい、こういう問題がPISA(※1)型だ」とか言われていますけど、実は「中学受験の問題は昔からそういうところをみていた」っていうのは意外に世間に知られていないのではないかな。

やっぱり知識の量じゃなくて、どれだけ意欲的なのか、どれだけ頭の使い方やセンスがいいか。というのを見たい。それを「なんとかペーパーテストって形で見られないのか」と精度を高めていったのが中学の入試問題ですから。

対談中のおおたさん

(※1):PISA(ピザ)とは、15歳児を対象に2000年より3年毎に行われる学習到達度調査のこと。2012年の調査では65か国で約51万人に調査を実施。

学力の経済格差の現実と対策

—なるほど。ただ私立の学校は公立と比べて経済的負担が大きいのも事実です。この学力の経済格差についてはどのようにお考えですか?

石井:

経済的な環境によって、学ぶ環境が限られてくるっていうのは「もったいない」と思いますね。理想は国が支援をして、能力的にポテンシャルのある子がお金のことを心配せずに一番成長できるところで学べることが一番いいことですね。

おおた:

はい、みんなが機会を得られるといいなって思います。日本の教育のシステムとして、お金のかかるところにいい教育が行われているという現実があるとして、「だから私立を抑えろ」という話ではないと思います。そこで私学批判とか、塾批判をするのは違うだろ、と思います。

今書いている本にもありますが、「塾があるから、日本の学校は学校で居続けられるんだ」と考えています。日本の学校って全部単線式じゃないですか?だから競争が起きるんですよ。

みんなが高校、大学と行って、その中で偏差値が使われて序列化されて偏差値が1違うだけで、「私の方が上」、「私の方が下」という風に競争が激化していく。

もし塾がなくて学校がそこまで面倒を見なければいけなくなれば、学校が本当に居づらい空間になってしまいますよね。

石井:

きつくなりますよね。

おおた:

今、公教育の改革が議論されていますが、ゆとり教育の時同様どうなるかわからないじゃないですか?「公教育がダメだから」というわけではなくて、仮に公教育がこけたとしても、「日本には5万軒の塾がある」というのがすごく資産だと思うんですよ。ゆとり教育の時も、塾と学校で補完し合ってきました。

公教育と民間教育がこれだけ育っているというのは「世界に類をみないハイブリッドな教育システム」です。民間教育は教育システムとして国の管轄下ではなく、独自にやっているというとこがミソです。これから、塾が公教育に関わっていくことはあり得ると思いますが、文科省の管轄下になったらダメだと思うんですよ。

石井:

ダメでしょうね。

おおた:

「与えられた教育である公教育」と「自分から求めていく民間教育」が2つあることによってバランスがとれている。仮に教育行政(公教育)がこけたとしてもセーフティーネットがあるというのは国にとってもすごくプラスだと思っています。

石井:

うんうん。なるほど、その視点ではあんまり考えたことなかったですね。確かにそうですね。

おおた:

という意味で民間教育の存在意義っていうのは社会的に大きいと思います。ただ、そこにお金がかかってしまうっていう現実はあります。

1970年代、(東京都立)日比谷高校が陥落する(※2)以前はどうだったかというと、実はやっぱり金持ちばっかりが日比谷に通っていました。なにも変わっていないっていうことですね。

(※2):1960年代までは東大進学者数で都立日比谷高等学校が首位だった。

石井:

そうですね、根本的には変わっていませんね。

おおた:

「私学に行かなくては這い上がれない、だからお金持ちじゃなきゃダメなんだ」というのではなくて、私立だろうが、公立だろうが、日本に限らずお金持ちの子は高い学力をつけやすいっていう相関はもともとあります。

石井:

私立の高校に行くにしても国からの助成金とか支援金が出たりしますけどね。東京都の場合だと塾に通う費用を都が支援してくれる「チャレンジ支援」(※3)という制度もあります。それを知らないばかりに使えないケースがすごくもったいないですよね。

(※3):チャレンジ支援とは、東京都が行う「受験生チャレンジ支援貸付事業」のことである。中学3年生・高校3年生を対象に塾費用や受験料の貸付を無利子で行い、高校・大学などに進学した場合返済が免除される。

<次ページ>

高校受験という選択
1 2 3
役に立ったらシェアしてね
  • Facebookシェア
  • LINEで送る

スクールポスト簡単アンケート

    現在、学校以外での受験勉強はしていますか?(複数回答)

2016.10.10
『推薦対策の教科書』改訂第2版を11月14日にリリースします。
2016.09.10
平成29年度「都立高校 推薦入試 対策講座」を開催します。
2015.09.18
内申点計算機が平成28年度都立入試対応版にバージョンアップしました!