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安田学園のクエストエデュケーション

2014.08.01

両国国技館の近くに建つ安田学園。ここでは企業からのミッションに生徒が挑戦する「クエストエデュケーションプログラム(以下、クエスト)」という取り組みを教育に取り入れています。10年間続いたオリジナル教科を一新し、始まったクエスト。「教室からインターン体験」というキーワードのもと生徒が様々な課題に挑みます。クエストについて、生徒の活き活きとした笑顔が大好きという高橋先生にお話を伺いました。
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クエストとは?

元々日本経済新聞社が主催で始めた教育プログラムで、現在は「株式会社 教育と探求社」が運営しています。
現実社会と連動しながら、”生きる力”を育むために実在の企業を題材にしたリアルな学習テーマに取り組みます。
また、チームでの活動を通して、”社会・経済”や”働くことの意義”についての理解を深めます。

安田学園では、この活動を高校1年生を対象に1年間通して行っています。
その目的を、高橋先生は「教室からインターン体験」と表現します。

クエストで使うテキスト
クエストで使用するテキスト
クエストで使うプリント
クエストで使用するプリント

スタートは、自分の仕事意識を探ったり、新人研修として企業調べを行ったりして”自分”や”企業・社会”に触れます。
その後にインターン受け入れ先の企業数社の内からエントリー先を選択し、それぞれ4~6人ほどのチームに分かれ活動を開始します。
高橋先生は「毎回の授業で少しでもいいから企業に興味を持ってほしい」と願います。
高校1年生から、”働く”ということの意識を積み重ねていくことが大事、という考えです。

そうして夏休みが明けると、生徒たちは企業からのミッションを受け取ります。
ミッションは「人工衛星を活用した”生活ど真ん中”サービス(※1)」や「お金がぐるぐる回り出す永久不滅ビジネス(※1)」など抽象的なものが多いそうです。(※1 QUEST CUP2014の課題例)
「結構テーマがきついですね。どう考えるか、どういう風に生徒たちが(ミッションを)受け取るか」と期待を膨らませます。

ミッションに挑む際、まずは一人でミッション解決のアイディアを出します。
これを”一人ブレスト”と呼んでいるそうです。その一人ブレストを経て、次はチームで企画会議を開き、アイディアを突き合わせます。
これらのアイディアの出し方や、まとめ方は事前に教えておくそうです。
「手法は教えるけど、答えは教えない。ま、答えはないようなものですけどね」と笑います。

企画会議の最後は、アイディアを収束させて各チームで”進めていく企画”を決める工程。
高橋先生は、「ここが一番の要、キモの部分だと私は思っています」と語気を強めます。

その後は、プレゼンテーションの準備を行い、ミッションを受けた企業にプレゼンテーションを行います。

10年間続けた授業を一新!クエストの始まり

安田学園では2013年度よりクエストが取り入れられました。
以前よりあったライフスキルという授業の一環です。
ライフスキルとは、安田学園のオリジナルのネーミングで、社会構造が変わっても変わることのない不変的能力のことを指します。
その中でも特に”問題発見能力””問題解決能力””積極表現能力”を重要としており、「問題を発見し解決するだけでなく、表現するまでが大事だ」といいます。

ライフスキルという言葉は、10年前に高橋先生も参加したオリジナル授業の開発の中で生まれました。その時に展開した授業は”ホスピタリティ講座””ビジネス講座””メディア講座”という3つの講座です。
その内のホスピタリティ講座はクエスト導入までの間、安田学園の教育の一端を担ってきました。
内外からの評価も高く、企業の方にも興味を持っていただいたことがあるそうです。

しかし一方で、校内では”ライフスキル”という言葉が拡散し、統一感が弱くなってしまうという事態もありました。
そこで10年目という節目を迎えた2013年に、「教科外授業に入学から卒業まで一貫したストーリーを持たせる」という考えに基づきライフスキル授業の見直しが行われました。

そうして、高校1年生の教科外授業で行われることになったのが”クエスト”なのです。
この取り組み、評価もテストもないのだそうで、それを聞いた生徒は大盛り上がりだといいます。
しかし、高橋先生は「評価がない分、大変なのです。教わるのではなくて自分たちでやらなきゃいけないのですから」と向き合います。

授業で指示を出す高橋先生
授業風景
生徒にアドバイスする高橋先生と郷先生
授業風景2

またこれには教員側も非常に高いスキルが要求されます。点数の様な明確な評価基準がない分、生徒への接し方も通常の授業通りにはいきません。
「授業は本当に難しいです。教員としての高いスキルが要求されます」と高橋先生。
また、「(ホスピタリティ講座から)引き継がれてきたノウハウがあるので、我々のやり方自体は変わりません。中身が変わっただけです。
我々が引き出して、拾って、問題を発見・解決させて積極的に表現させていきます」と胸を張ります。

教室からインターン体験をする

取材時に見学させて頂いたクエストの授業。
最近は学校の注目度も高いこともあって外部の方の授業見学も増えているそうです。

この日の授業は”企業調べ”。自分のチームがエントリーした企業のことを知るための授業でした。
生徒たちはチーム内で、企業を調べる担当とパワーポイントで資料を作る担当との二手に分かれます。
役割を決める際に教員は介入しません。あくまでも生徒同士が話し合いの中で決めるのです。
そのため、「じゃんけんNG」や「押しつけNG」などの最低限のルールは設けているそう。

資料作成に勤しむ生徒たち
授業風景3
タブレットPCを使い企業を調べる生徒たち
授業風景4

また、授業を見ていると、生徒同士で意見をぶつけ合っている場面も少なくありません。
高橋先生は「揉めなきゃダメなんです。もっと。『無理無理!』とか『なんで?どうして?』とか。グループの中で対立が起こる、これもいい経験なんです。普通の授業では見られない生徒の姿があります」と満足気。

「もしかしたら、ちょっと嫌だな、っていう友達と同じチームかも知れない。でもそれも大事なことです。社会に出ても気の合う相手ばかりじゃないですから、そういう意味でも教室でインターンなのです」とも・・・。

このように揉めた場合は、ある程度は教員が声を掛け、手を差し伸べますが、最終的なところは生徒たちに委ねます。これも、問題解決です。

生徒にプレゼン資料のアドバイスをする先生たち
授業風景5
生徒のつくったプレゼン資料をチェックする先生たち
授業風景6

今の子ども達、安田学園に来てほしい子ども達

今の子ども達はミスをすることを極端に怖がると嘆く高橋先生。
「間違ったっていいんです。そのための学校ですから。私は恥をかいたり、失敗する体験のほうが、人をつくっていくと思っています」とも・・・。

そういった意味でも、クエストは様々な体験を生徒たちにもたらします。
教室にいながらインターン体験を行い、大小さまざまな成功と失敗を経験していくのです。
そうして、大きく成長していくのでしょう。

チームで作った資料を確認する生徒たち
授業風景7

最後に安田学園に来てほしい子どもたちってどういう子どもたちですか?と質問をぶつけてみると、「学校の教育目標にある”自学創造”が出来る子・目指す子です」との答え。
しかしその後に、完全に私の主観ですが、と前置きしたうえで、「素直で笑顔の似合う子、そういう子が安田学園に来てくれたら嬉しいかな」と教えてくれました。

「勉強は出来なくても、まず素直であるかどうか。もし今笑顔がない子でも安田学園に来てもらって、笑顔を作ってあげたい、ってすごく思います」と高橋先生。
あくまでも個人的意見です、と念を押します。

パワフルな先生が作り上げた10年間の土台のうえに、インターン体験という新しいチャレンジ。
この授業を通して、安田学園の生徒がどう成長するか、今後も目が離せませんね!

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編集後記

実際に授業も見学させて頂きました。見させて頂いた授業は、調べた企業情報をプレゼン資料にまとめる時間でした。調査も同時並行で行っており、いつの間にかチーム内で役割が分担されていたのが印象的です。プレゼン資料は全チームがパソコンで作成していて、時代の流れをしみじみと感じました。今回取材にご協力いただいた高橋先生も驚いているようでしたが、生徒にパソコンか模造紙か選ばせた上で、全チームがパソコンを希望するから凄いですよね。パソコンでプレゼンすることは、生徒にとっては何ら特別なことではないのでしょう。

今回取材した学校について

安田学園 中学校・高等学校

大正12年に安田財閥を興した安田善次郎により設立。「自学創造」教育により、本質的な学びをベースにした先進的な進学校を目指し、学校完結型の学習指導を展開している。また、「グローバル社会への貢献を生きがいにする人材の育成を目指す」ことを教育目標として掲げている。

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