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玉川聖学院の国際教養

2015.07.01

自由が丘駅から徒歩数分、私立女子校・玉川聖学院では、「世界を知る」ことを目的とした国際教養という授業の選択が可能です。世界の現実について、現場を知る方々を外部講師として招き、生徒たちに「大切なもの」は何かを伝えています。
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玉川聖学院の国際教養って何?

玉川聖学院の「国際教養」の授業は、高校2年生対象の選択授業です。受講者は年々増え、今年は募集30名に対して35名のも生徒が受講しています。「募集人数は30名としていますが、断りきれません」と本授業を担当する高橋先生。
本授業の大きな目的は「世界を知る」こと。これは玉川聖学院が開校当初より掲げる教育の特色「世界をつなげる国際教育」にもマッチしています。本授業では、「世界を知り、どう自分の生活に活かしていくか」というところまで踏み込んで生徒に考えてもらいます。
大企業が求めるようなグローバル人材ではなく–文字通りの“材料”としてではなく–よりよい市民として生きて欲しい、そのための知恵や観点を知って欲しいというのが本授業に込める想いです。

本授業には、開設当初より変わらず実施している「3分間スピーチ」という取り組みがあります。これは、最近の新聞記事から興味ある記事を選び、3分程度で記事の紹介と自分の考えを述べるもの。その後、グループに分かれそれぞれの意見を交わすディスカッションが行なわれ、さらにそのテーマについて800字の小論文を翌週に提出します。

他には、担当教員たちによる「世界と日本のつながり」についての講義や「貿易ゲーム」「身近な世界を探して発表」など様々なワークショップなどがあります。

国際教養って何をするの?〜外部講師講演編〜

2010年度からは外部講師を招き、講演をしてもらっています。
大学教授からNGO・NPO組織に携わる人、世界を股に掛ける写真家・ジャーナリストなど、講演いただく方々は様々です。

授業の様子
授業の様子

どれも生徒の反応は良いのですが、特に良かったのが、イラク支援ボランティアに10年以上携わっている高遠菜穂子さんの講演。戦争の現実や報道の問題など実際に見聞きした人の話は、生徒の心に大きく響いたらしく、昼食時間になっても質問がやむことはなく、高遠さんを中心に生徒の輪ができていました。
「『初めて知った事実』が衝撃的だったのでしょう」と高橋先生は振り返ります。

最近では、早稲田の教授で「女性で始めてロシアからカナダまでを無動力で横断」した高野孝子さんの講演が生徒に大きな影響を与えました。
その話に触発されたある生徒は、高野さんが企画する自給自足生活を体験するプログラムに参加する予定です。これはヤップ島(ミクロネシア連邦)で現地の人と13泊14日間、生活を共にするプログラムで、自らが、自然から食料を獲り・調理し・食べる、といった現代では中々体験できない生活が待っています。

これらは先生の「この人を生徒に会わせたい」という思いから、アポイントを取り実現しています。時にはバートン理事長の力を借りつつも、生徒のために、と力を絞ります。
我々が直接話すより、生徒たちが『気付き、火がつく』と思っています」と高橋先生。世界を知る本物の大人たちとの出会いが、国際教養の醍醐味でもあります。そのため「現場を知る人」をバランス良く呼びたいといいます。

国際教養って何をするの?〜開発教材編〜

授業の様子
授業の様子

また2012年度からは、生徒たちは自分たちで小学生向けに教材を開発しています。これらの教材というのは、今までの授業や講演で聞いた話を土台にして、次の世代の子ども達にどう伝えていくか、というテーマで製作します。
そこには、「自分たちも何かしなくては」という想いが込められているそう。

開発する教材のテーマはグループごとに考え設定していますが、「小学生が『世界のために自分たちは何ができるか』を考えるきっかけにするため」にどうすれば良いかという点は共通しています。それを前提にアイディアを出し合い、メンバー全員で模索し教材を作っていきます。
出来上がる教材の形態は様々で、粘土などで模型を作るグループもいれば、発表に寸劇を用いるグループも、さらにはパソコンを駆使してパワーポイントにまとめたり、動画編集したりするグループもあるそう。

    過去にあったテーマの一部を紹介します。
  • 人生は宝くじ〜世界と日本を比べよう〜
  • 世界を知るパズル
  • わたしの知らない世界地図ゲーム
  • 負の人生ゲーム
  • 児童労働
  • などなど。
今年(2015年)の7/18には2014年度に生徒たちが製作した教材を、中学受験を予定する小学生向けの教科体験で試す予定だそう。どういった反応が見られるか楽しみです。

国際教養の授業を見学して

授業の様子
授業の様子

お話を伺った後、我々編集部は実際に行われている「国際教養」の授業を見学させていただきました。この日は、2013年度から本授業で講演を行っているイオントップバリュ株式会社(以下、イオン)の有本幸泰さんが担当し、生徒たちに「フェアトレード」と「折り鶴」について話をされていました。

フェアトレードは、途上国などの立場の弱い生産者に、寄付ではなく、商品を適正な価格で継続して買い取ることで、生産者が自立できるように支援する貿易の仕組みです。
引用:「イオン|環境・社会貢献活動」より (https://www.aeon.info/environment/social/fair_trade/)

2種類のチョコレート
2種類のチョコレート

イオングループでは、フェアトレードチョコレートという商品を展開しており、授業では、実際の商品が生徒たちに配布されました。
フェアトレードで輸入されたカカオが100%使われているものと50%使われているものの2種類があり、生徒たちは食べ比べ「こっちのほうが柔らかい!」「本当だ!」などの感想を口々に言い合っていました。
その後、フェアトレードの仕組みや意義、平和と経済の関係性が有本さんから説明され、生徒たちはスクリーンに映る資料を見たり、メモをとったりし、真剣な眼差しで授業に臨んでいました。

この日の授業の後半は「折り鶴」についてです。これは、イオンがプラチナスポンサーを勤める「全国ORIZURUキャラバン」の紹介とともに、折り鶴が平和の象徴になった理由から戦争・平和について生徒に考えてもらうのが狙いのようです。広島の原爆被害について同年代の少女のエピソードが紹介されると、思わず目に手を当てる生徒の姿も。

現在、世界で貧困に苦しむ国のほとんどにおいては、紛争や民族対立が起こっているとのこと。このことから、平和こそが貧困から脱して発展するために必要なのだと有本さんは語ります。フェアトレード商品を購入することが、開発途上国の自立と発展、ひいては世界の平和にもつながるということを、深く学んだ時間でした。
こういう授業を何年も継続していくことが大切なんです」とは、授業後の有本さんのコメント。

国際教養授業は、高校生たちにとって身近な生活から世界へとつながる舞台なのです。

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編集後記

国際教養の授業を見学させていただきました。どの子も真剣にスクリーンを見つめ、集中して耳を傾けていたように思います。途中から、私も授業に聞き入ってしまい、取材で来ていることを忘れてしまうほど。こういったいわゆる受験に関係のない"教養"の育成というのは私学ならでは。その中でも玉川聖学院の取り組みは、非常に生きる上で役に立つ授業だと思えます。

今回取材した学校について

玉川聖学院中等部・高等部

東京都世田谷区にある女子の中高一貫校で、高校からの募集も行う併設校。社会で活躍できる女性の育成のため「かけがえのない私の発見」「違っているからすばらしいという発見」「自分の可能性、使命の発見」の3つを教育方針の柱としている。また1993年より、キリスト教の世界観に立って取り組む人間学を展開している。

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