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芝学園中高の技術工作部

2014.05.22

東京タワーの眼下にある「芝中学校・芝高等学校(以下、芝中高)」。自由でのびのびとした校風で知られる学校で、「技術でおもしろいことをしている」という情報を入手しました。そこで、技術担当の寺西先生と、部活見学に来ていた卒業生の伊藤匡輝さんに取材させていただきました。その実態は想像以上。ただの部活動という一括りにしてもいいのかと考えさせられるほど。学力面でも優秀な生徒の多い芝学園、その生徒たちの成長の秘密を垣間見た気がします。
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すごいぞ!芝の技術工作部!取材時に驚いた3つのこと

芝中高にある「技術工作部」は、50年以上の歴史のある部活です。 鉄道班、自動車班、船舶飛行機班の3つに分けられており、その活動は多岐にわたります。

「どういう部か説明するのが大変」と寺西先生は笑います。 そこで今回は我々編集部が取材に訪れた際に特に驚いた3点についてご紹介します。

  • 生徒たちが作っているもの

    見学中も、様々な作業に没頭する生徒たち。 生徒たちがつくるものは誰が決めて、どう指示しているのですか?と尋ねたところ、「作るものは、”必要なもの”です」と寺西先生。 “必要なもの”とは活動の中で自ずと出てくるものだといいます。

    例えば、出展のオファーがあるイベント。 会場の大きさの関係で手持ちの線路では入りきらない場合などは、新しい半径の線路が必要になります。 他にも、「家具屋で『作れない』と断られたから」と作品を飾る台などの制作を頼まれるケースも。

    「こういう場合は納期が自然に決まっちゃいますからねぇ」と寺西先生。 そうして生徒たちは、限られた時間の中で、”誰かのために”技術を磨いて活動しているのです。

  • 夏合宿の準備

    技術工作部の夏の一大イベント、夏合宿。総勢50人を超す部員が3泊4日を共にします。 こちらも生徒たちが準備、運営を担います。

    棚いっぱいの調理器具
    棚いっぱいの調理器具

    「(合宿は)3食とも自炊です」と誇らしげに寺西先生が見せてくれたのは、棚いっぱいにつまれた七輪や鍋などの料理器具。 この他にも50名分の救命胴衣、冷蔵庫、シンクまでも持参します。 シンクは、なんと手作り。現地で水道管につないで使うそう。

    救命胴衣
    救命胴衣
    縦置きされた手作りシンク
    縦置きされた手作りシンク

    “必要なもの”を作る精神は、こういうところまで浸透していました。

  • 鉄道班が作る機関車

    2000年から始まった活動で、「きかんしゃトーマス」とその仲間たちを制作しています。 2014年度現在は7体以上制作されていて、ずらりと並べられた姿は正に「きかんしゃトーマス」の世界のそれ。

    手作りの列車に乗せてもらう編集部
    乗車させてもらいました
    列車の先頭車の内部
    先頭車の内部

    これらは、バッテリーとモーターを積み客車を繋げて人を乗せて走らせることもでき、文化祭では毎回長蛇の列を作るそう。 「きかんしゃトーマス」たちは、著作権元からの写真を基に生徒たちが設計図を起こすところからスタートしているため、1つ作るのに3年かかることもあるといいます。

    「写真だけだと遠近感がつかめず、著作権元から『煙突もっと細いですよ』とか指摘をもらうこともありますね」と寺西先生。

2つの方針から見る、子どもが成長するためのヒント

顧問の寺西先生
顧問の寺西先生
  • 寺西先生が考える学習方針

    「『生徒がちょっと苦しい』くらいの活動がちょうどよくて、なかなか達成できない目標があるから達成できた時にうれしいんだと思っています」と寺西先生。

    また、「わくわくできるか、どうか」というのも重要なことだといいます。

    さらに「自分が体験したことしか、自信をもってできることはない」「本やインターネットで調べても、力加減や感触はわからない」とし、手を動かして、ケガをしない程度に失敗をして、その先の達成感と自信にしてほしいと考えています。

  • 成熟しつつある技術工作部、更なる成長を目指す部活動の方針

    はじめは、電車を動かすことは夢のまた夢だった技術工作部。 今では、来場者の方に運転させても、安心できるレベルまできているといいます。

    「昔に文化祭などで機関車が壊れて大行列ができて、『どうすんだ!?』って経験もありますが、今はそんなことにはなりません」と寺西先生。 さらに、まだ技術的には深めていけるが、部としては成熟しつつあるといいます。

    いつまでも同じことをしていては部が成長しないと考えており、今後はこれまでのノウハウを外部に伝えていくこともしていくそう。 「『技術教科』がもっと発展すればと思って、これから(機関車制作など)したいという学校には積極的に伝えていくようにしています」とにこり。

生徒を成長させる3つのメソッド

  1. 生徒に任せるということ

    技術工作部は高校生が中心となって活動しています。 中学生の面倒をみるのは先生ではなく高校生、という伝統が根付いており、基本的には高校生に任せているといいます。

    ただ、「このままいくとケガをする」「高校生が中学生をコントロールできていない」と判断した場合は、先生から高校生へ指導が入ります。 高校生は一生懸命指示していても中学生には伝わっていない、というケースはよくある話なのだそう。

    OBの伊藤さんは「先生は僕らの気にしていないところを指導してきます。当時はなぜそれが必要かわかっていませんでしたが、今言われたら『あぁ、そうだよね』って思いますね」と振り返ります。 また、こうした経験が、高校を卒業後も活きていると、しみじみ教えてくれました。

  2. 生徒を認めるということ

    寺西先生は、意識的に設けている高校生とのコミュニケーションの場で、将来の話をすることがあるといいます。 「本当に考えている高校生は、はるかに私なんかより上(の考え)をいっていますね」と寺西先生。

    近未来の話になると、生徒の方が夢のある将来を描けていると感じるそう。 さらに「でも、たぶん、そういう世の中が来るんだと思います」とも。

  3. 生徒と思いを共有するということ

    部の今後の方向性は、生徒と共有できているといいます。 「ある生徒に『(今)なにやってんだ?』って聞いたら『いついつまでにどこどこ高校に納品する部品作っています』って返事が返ってきたりして」と嬉しそうな寺西先生。

    「『面倒だな』って思う部分もあるでしょうけど、それで実際にうまくいったら彼らにとっていい経験になりますし、達成感もあると思います」とも。

    思い通りのものをつくるということ以上に、「人に伝え広めるということ」「みなさんに喜んでもらえるということ」が大事ということが部員にも浸透しているようです。

卒業生に聞いた!技術工作部で学んだこと

卒業生の伊藤さん
OBの伊藤さん

OBの伊藤さんは、「先頭に立ってみんなを引っ張るというよりは、周りの尻拭いをすることのほうが、ここでの経験は活かされます」といいます。

学年が上がるにつれて、責任が大きくなり、自分の仕事もこなしながら後輩の面倒もみていかなくてはいけない。 冬の間だけでもイベントが2~3本あるという過密なスケジュールをこなすのは、決して容易なことではありません。

先生からキツイこと言われますか?と質問すると、「言われます、言われます(笑)」と伊藤さん。 ここでの活動を「授業でやるグループワークの一歩先。他の(部活の)人では、絶対経験していない」と胸を張ります。

技術工作部では、技術だけを学んでいるわけではありません。 後輩の面倒を見るということ、オファーに応えるということ、お客さんを喜ばすということ、ノウハウを伝えるということ。

こういった経験は、伝統と寺西先生が築いたこの技術工作部だからこそ得られるものなのです。

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編集後記

想像を遥かに超えた取り組み。取材は驚きの連続でした。個人的には、手作りシンクが一押し。活動スペースの一画に押しやられた合宿の準備。そこにそびえ立つのが"手作りの"シンクと分かった時の驚きは今でも忘れられないです。

今回取材した学校について

芝中学校・芝高等学校

東京都港区にある男子の中高一貫校で、高校からの募集を行わない完全中高一貫校。 仏教系の学校で、浄土宗の思想である共生(ともいき)を人間教育の根幹にし、謙虚に相手の意見・行動を受け止め、尊重することの大切さを育む。 「逆引き」の進路指導を特色とし、大学は目的ではなく将来の夢実現のための手段として考える。

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