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都立高校一般入試「数学」の過去問から導いた傾向と対策

都立高校一般入試「数学」の過去問から導いた傾向と対策
都立高校一般入試の数学の試験。どう対策すればいいか。まずは今までのデータを基に出題傾向と問題構成について知りましょう。その分析結果から導き出した3つの対策まとめは、あなたの受検にきっと役に立ちます!https://school-post.com/hint/toritsu_math/?preview=true
石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)

都立高校一般入試・数学の平均点推移

都立高校一般入試の数学の受検者平均点は、平成20年度以降、次のように推移しています。

  • 平成20年度:58.8点
  • 平成21年度:47.3点
  • 平成22年度:55.6点
  • 平成23年度:59.8点
  • 平成24年度:57.2点
  • 平成25年度:55.4点
  • 平成26年度:57.6点
  • 平成27年度:62.0点
  • 平成28年度:60.9点
  • 平成29年度:56.3点

だいたい55点~60点の間に落ち着いていることがわかります。例外的に平成21年度は50点を下回りましたが、この年度は大問1の問9(6点の問題)の正答率が例年に比べて非常に低く、その分が表れた形だと思われます。

例年、正答率が90%以上の問題もあれば、10%未満の問題もあり、問題によって難易度の差が明確です。したがって、目標得点に応じて“取るべき問題”と“捨てる問題”とを見極める必要があります。

都立高校一般入試・数学の出題構成

都立入試の数学は全部で5つの大問から構成されます。

  • 大問1:独立小問集合(全46点)
  • 大問2:式の利用(全12点)
  • 大問3:関数(全15点)
  • 大問4:平面図形(全17点)
  • 大問5:空間図形(全10点)

問題と配点の構成は平成15年度以降の15年間、ほぼ同じです。今後も大きく変わらないと予想されますが、学習指導要領の大幅な改訂があった場合には、出題の構成も変わる可能性があります。

出題傾向の詳細分析と対策方法

ここからは、大問ごとにもう少し詳しく出題の傾向を分析していきましょう。

大問1:独立小問集合(全46点)

計算問題や資料の整理、図形など、基礎的な問題が合計9問出題されます。5点の問題が8問と、6点の作図問題が1問出題されます。
問1~問6は計算問題。いずれも中学3年間で学習する教科書レベルの基本計算です。
問7は場合の数や確率が多く出題されてきましたが、平成25年度から2年続けて資料の整理が出題されています。
問8は平面図形の角度を求める問題が主に出題されますが、まれに関数が出題されます。
問9は作図の問題です。コンパスと定規を使って指定された図形を描くものです。部分点がつきます。

目安の解答時間:5~10分

大問2:式の利用(全12点)

長めの文章を読んで設問2題に答える問題です。
問1は5点で、与えられた条件に基づいて、数字の規則性や図形の面積・体積を処理します。問2は7点と高配点。文字式を利用した証明や、方程式を利用した解答が求められます。
解答のプロセスも書く必要があり、部分点が与えられます。
近年は問題文が長くなるとともに、問題の設定が複雑化しており、一読しただけで内容を理解することが難しくなっています。問題文をじっくり読む粘り強さと日本語の読解力も求められています。

目安の解答時間:8分~12分

大問3:関数(全15点)

1次関数や関数y=ax²のグラフについて、設問に答える問題です。1問5点×3問で出題されます。
問1・問2では、関数の変域や直線の式といった基本的な技能を問われます。複雑な問われ方がされるので、問題をよく読む必要があります。
問3(または問2-2)は、関数に図形が組み合わさり、難易度の高い問題です。

目安の解答時間:10分~13分

大問4:平面図形(全17点)

三角形や四角形(平行四辺形、長方形、正方形)を題材に、小問が3題あります。5点の問題が2問と、7点の証明問題が1題出題されます。
問1は図形の角度についての問題です。ここ数年は文字式を用いて角度を表す問題がトレンドです。
問2は証明問題。三角形の合同や相似の証明ですが、いずれも教科書で扱うレベルです。部分点が与えられるので、仮に全部がわからない場合でも、わかるところから書くことで、1点でも多く確保することを目指しましょう。
問3(または問2-2)は、複雑な手順が必要な問題で、最も正答率の低い問題の1つです。

目安の解答時間:12分~16分

大問5:空間図形(全10点)

立方体や直方体、三角柱や四角すい等の立体を題材にした問題です。5点の問題が2題出題されます。
問1は一見複雑そうですが、見た目よりは解きやすいことが多い問題です。
問2は応用力を求められる問題です。例年正答率が10%未満となる難問です。<

目安の解答時間:12分~16分

こうして見ると、次のような特徴が浮かび上がります。

  • 小問数は全19問と決して多くはないが、1問当たりの配点が大きい
  • シンプルな計算問題が30点と、計算の配点が高い
  • 平面・空間ともに図形に関する問題が多い
  • 作図や証明が合わせて3題計20点分出題されるが、いずれも部分点がつく
  • 問題によって難易度の差が大きい

まとめると、都立高校の数学の入試の対策のポイントは以下のとおりです。

  1. 傾向は変わっていないため、過去問が有効
  2. 基礎的な計算問題をミスなくクリアできるかが重要
  3. 難関校合格は関数・図形がカギ・類題を多く解き、対策しておこう
石井 知哉(いしい ともや)

執筆

石井 知哉(いしい ともや)